眼が悪いといっても、本当の原因が・・・
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姑(はは)は秀真(ほつま)伝えの研究者であり、
研究しながら、治療家としての能力が開発され、施術(指圧)の国家試験
の資格を得て、施術を90歳近くまで、現役で行っていた。
その体験記をまとめたものが、文芸社から単行本として出版されている。(*1)
その本の中から、いくつか、母のクライアントさんのケースを、とりあげて
みたい。
日常生活の中で活用できる、ヒントがあると思う。
今日は、”目”に関しての、身体との有機的結びつきをお伝えしたい。
眼鏡をかけること、と身体に及ぼす、影響は、とても深い。
目が悪い方は、多く、遠視、近視、乱視、老眼など、その症状もさまざま。
医学大辞典から、少しその違いを取り上げてみると・・・
①遠視~屈折異常。
無調節状態の目に入る平行光線が、網膜(もうまく)感光層より
後方に結像する状態をさす。
一般には凸レンズで矯正。
②近視~ 屈折異常。
無調整状態において、遠方からくる平行光線が、網膜の前方に結像する。
これは、網膜の位置に比べて、屈折力が強すぎなので、遠方視力が悪い。
凹レンズによって、嬌声する。
③乱視~
眼内にはいる、平行、集合 分散光線のいずれも、眼底の一点に結像しない
ため、外界の物体を正しく、明視できない。
④老眼~
目の調整力が、水晶体外層の硬化と、屈折率増加のため、年齢とともに低下
して近点が遠ざかった状態をさす。
45~6歳になると、近点距離は、平均、明視距離25センチ㍍になり、対象
を離してみないと結像が難しくなる。
それでは、上記にあげた目の状況と 身体のつまりと、どのような関係が
いつ、生じるのだろう?
須田麻沙子によると、それは、”眼鏡をかけたりはずしたりすることが重なると
身体のつまりに影響を及ぼす”という。
姑(はは)はその治療体験から次のように、自著に、綴っている。
引用する。
“しばらく眼鏡をかけて近業をしていたのち、眼鏡を取り外すと同時に
レンズによって調節されていた視力が、突如として変化し、視神経・眼器が
鋭敏に反応する。
これが脳髄に伝達されて身体の漸進的萎縮が、瞬間的に起きる。
両肩、頸部、後頭部にかけて凝りが現れ、一時的に視界がかすんでくること
がある。“
”身体の漸進的萎縮”と、上記に書いてあるが、これが、本の題名にも
なっている”引きつれ・つまり”の意味と同じである。
身体細胞の萎縮は、眼鏡のつけ外しの際だけでなく、冷房の’冷え’
や運動での’筋肉の酷使”、また、怪我や手術などからも、そして、
ストレスや頭の使いすぎなどでも、日常生活の中で、繰り返して、
起きている。
ここでは、眼鏡をつけたりはずしたりすることによって、そうした
気の滞りの要因をつくることになるという。
短期間ですぐ、それが身体にすぐ影響するというものではないが、
長期にわたると限度に達する。
そのときに身体全体に変化が起きる。
たとえば、、めまい血圧の変動、心臓の異変などである。。
そのような凝りを感じたときは、自ら、自然治癒力セラピーを行って
凝りをほどくことのできる人は、その影響を未然に、最小限に防ぐことが
できる。
姑(はは)は次のように、その体験を記している。
“原稿書きなどのとき、使用した遠視の近業用眼鏡を取り外すと同時に、
眼を閉じて後頭部、および、前眼部に手掌をかざす。
しばらくすると、アクビを連発して だいたいはもとにもどる。
これですっかり元に戻ったわけではなく、寝るときと、目覚めたとき
頭部全体を丹念にほぐすと、まだまだ萎縮が残っていることを、
思い知らされる。
眼を開けたままで眼鏡を取り外すと、眼鏡をかけていた時間に
比例して、肩がひきしまり、後頭部がじりじりとつまってきて、
立ち上がるときなどは足腰が少しふらつくことがある。“
それでは、実際 施術現場では どのように それらの凝りがほぐされて
いるのだろうか?
“身体のある個所に手掌をかざすと、左右どちらかの眼の内側、鍼灸では
清明というツボに相当する部分に刺激が起きたり、目の外側、即ち鍼灸の
瞳子りょうというツボに相当する部位に、刺激が起きることがある。
(解くために)眼に関係する経絡には次のものがある。“
としたうえで:
①足の陽明胃経~目の内側(清明)に起き、足の第二指の外側に至る
②手の少陰心経~心臓中より起き、手の小指の内側に至り、
その枝別は眼の内側(清明)と目の外側(瞳子りょう)に至る。
③手の少陽三焦経~手の第四指より起き、腹部に至る。
その枝別は、眼の内側(清明)をとおるものと、目の外側(瞳子りょう)
を通るものがある。
④足の太陽膀胱系~ 眼の内側(清明)より起き、足の小指の
外側に至る。
⑤足の少陽胆経~ 眼の外側より起き、足の第四指の外側に至る
⑥足のけつ陰肝経~ 足の第一指よりおき、目系(眼の中央)に連なり、
百会(頭の中心)に会する。
⑦任脈~ 会陰部より起き、承泣(ショウキュウ)~瞳孔 に至り、
眼にはいる
⑧陽踵脈~ かかと中より起き、外踝(くるぶし)をめぐり、
腋(わき)の後ろを上行して眼の内側をまわる。
⑨院踵脈~ かかと中より起き、うち踝をめぐり、腋の前を上行して
眼の内側に属す。
だから、施術では ”眼が悪くなる” という際、これだけの経絡や
経脈が関連していることを念頭に置いて、丹念にそのつまりを
ほどいていく。
目が悪くなる要因として無視できないのは、以下だ。
①現場治療体験から、後頭部打撲による後遺症
後頭部打撲の後遺症は眼球にとどまらず、側頭部打撲があった場合は、
その時の衝撃が頸椎やその周辺に影響を及ぼしているから、
視力的にも影響を関節的に与えている。
さらに、そのような打撲や刺激で、特に耳たぶの下(乳様突起と
呼ばれる部位)と、下顎の間に凝りがたまると、難聴ぎみになる場合
が多いとしている。
こうしてみると、体は一本の命の糸によって繋がっていることがわかる。
凝りや引きつれを長引かせず、その都度解いていけるのなら、その命
の糸の理想的なメンテナンスとなるのは確かだ。