肥満症をコントロールするということ 2020 8/19
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糖尿病の人は自分の周りを見渡しても
実に多い。
16年間のインドのニューデリー時代 にも
知人友人で糖尿病の人たちは多かった。
この病気が、内分泌代謝系の病気の一つ
というのは、血液の中の糖度が
上がり、代謝の異常が起こるからだ。
この異常が血管や腎臓、さらに目や神経
にまで病変をもたらすので、恐れられている。
糖尿病と心の関係は、薄くはない。
情動性糖尿といって、精神的に緊張すると
一時的に糖尿が出ることからも言える。
感情によっても糖度が上がることがある。
情動的なストレスが、インシュリンを
軽減させるからだ。インシュリンは糖分を
消化する働きを持つ。
美食家が糖尿病になりやすいという説がある。
美味しいものをお腹いっぱい食べて肥満に
なり、その結果、インシュリンが不足し
糖尿病になる~というのだ。
だから、糖尿病の人には、食事制限を
設けると同時に、なるべく無駄な油脂分
やカロリー過剰の食物を避けて、質素で
素朴な食事に切り替えることで、随分、
症状が良くなったという話は聞く。
また一部の美食家の精神状況を考えると、
(データをとったわけではなく、
あくまで推測にすぎないが)、おいしい
ものを食べたり飲んだりすることで、
精神的なストレス要因を昇華させると
いうカラクリがあるのかもしれない。
欲求不満な人が大食いをしたり、
悲しいことがあると、ヤケ酒すると
いう心理に通じている。
退屈だから美味しい食事でまぎらすと
いうこともあるかもしれない、食事と
人の情動とはとても関連性が深いから、
こうした説もあながち、嘘では
ないかもしれない。
心療内科では、糖尿病にどう対処して
いるのだろうか?
日本で初めて心療内科を創設した
池見酉次郎博士は次のように書いている。
“我が国で近年、糖尿病の人が増加して
いるのは、社会情勢の変化により、
美食や運動不足による肥満がふえたこと
にも依りましょうし、現代社会の
ストレスの多い環境も影響しているもの
と言えましょう。
遺伝的な素質や肥満などの糖尿病に
なりやすい下地があるときに精神的な
ストレスが発病の原因として、何ら
かの作用を持つ可能性は十分
考えられることです。”
(引用終わり)
としたうえで、さらに、
“いったん糖尿病が発病した後の
経過や事後に、精神的ストレスが
関連があることには、今日異議が
ありません。
たとえば、精神的に安定している
ときには、食餌療法がよく守れる
せいもあって、血糖の値がよく
コントロールされていますが、心理的に
動揺したときにはコントロールが
乱れてまいります”(引用終わり)
コントロールという言葉が印象深い。
こうしてみてみると、糖尿病と肥満
の間に、何らかの関係がありそうだ。
肥満症というのは戦前の日本には
あまりなかったようだ。
糖尿病の要因となる食事と同様、コメ
よりパン、日本食よりイタリアン、
フレンチ、さらにファーストフード
が重宝され、食生活が多様化してくる
につれて、肥満症は確実に増加してきた。
大人で肥満症になる人の3分のⅠは、
子供時代から肥満と言われてきたことが
わかっている。
遺伝や体質、まれに、内分泌系の疾患
などで、クッシング症候群といわれる
ような肥満があるが、多くは、食べ
過ぎによる肥満と言われている。
間脳の視床下部というところに
食欲の中枢があることは知られている。
その食欲の中枢をコントロールする
箇所が大脳皮質にある。
だから、大脳皮質が上手に視床下部の
食欲中枢の箇所をコントロール
できれば、過食も抑えられるはずだ。
精神的なストレスから、その異常が
来ている場合は、何が一番のストレス
になっているか、よく見極めたうえで、
対人関係の場合は、一方的な価値観を
相手に押し付けていないか、自分が
思い込みや被害者意識を持って
いないかなどを、冷静に見極めたり、
自分の人格という、心の内側の領域
に入り、まず、自分を責めたり、
自分の能力不足を見たりせずに、
ありのままの自分を愛する~という
心構えで、鷹揚に第三者的な視線
で自分を見つめる訓練などが
有効的かもしれない。