自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

胆石と消化器系の病~二木医学博士の所見(6)

2018年12月30日 | 自然治癒力・生命力・発揮する考え方
胆石と胃潰瘍(いかいよう)の原因の共通性、
吐き気の伴う下痢、がなぜ起こる? 
2018   12/30
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海の幸、山の幸、お節料理が食卓に並べられる
’平成最後の新年’を迎えようとしている。

12月の忘年会が終わって引き続き、新年会や
親戚家族の集まりなどで、”美食とお酒”を楽しむ
機会も多いことだろう。

食べすぎ、飲みすぎで、胃腸の病の引き金にならない
ように~そんな時こそ、腹八分目 の言を思い出して
いただければ・・・。という今日の、お話。 

 


胆石で元巨人軍監督長嶋監督が7月から入院していると
いうニュースを聞いた。

その痛みは強烈で、冷や汗をかき、息をつめるほど、
苦しいという。
私のクライアントの方、叔母や、知人の何人かは、
この胆石で長年、難儀しているのだが、胆石が本当に
怖いのは、膿を持つに至った時だ。

その膿が腹腔に敗れ出たら致命傷となる。 
先日の、12月24日のブログで、二木博士(*1)
の胆石ができるのは生命素の働きが低下し
たからだというお話をご紹介した。

今日は そのあたりを、もう少し掘り下げてみてから、
さらに、有機的につながっている胃腸の病に触れて
みたい。

要所を 博士の自著(*2)から引用する;

“どうして胆石ができるかといえば、胆のう内の
体液が濃厚になり、含有物が沈殿(ちんでん)して
それがいつの間にか、長年のうちに、固まって
石のようになるからである。”(引用終わり)

質問①~なぜ、体液が濃厚になるのか?

“その理由は、濃厚な食物を好んで食べるのが大きな
理由だ。
淡泊な食べ物を摂る人にはあまり、できない。
中華料理、西洋料理、刺身、てんぷらなどを始終
食べているとついに、胆汁まで濃厚になる。”(引用終わり)

質問②~“類脂体”との関連性はどうなのだろうか?

”類脂体が働いていると、固形体を溶状にする働きが
あるが、ごちそうを食べている人には活動性の
類脂体は入っていかない。

しかし、早く菜食にして、生きた食べ物、淡泊な
食べ物を食べると、石が大きくならず、幾分、
粉になって落ちるか、溶かされるかして治る。”(引用終わり)

質問③~体液濃厚になると、血液に与える影響は?

”血液まで濃厚になって粘りが強くなる。
そうなると、小さな血管を通ることが困難になり、
おのずと心臓が強い力で打たなければならないから、
血圧が高進する。

菜食で、玄米食にすれば、血圧が下がって楽に
通るようになる。
脳溢血も起こさない。”(引用終わり)

質問④~菜食玄米にするとほかにメリットは?

”消化器官を考えると、胃の第一消化が良くなるから、
腸の第二消化が完全に近く行われる。
玄米は堅いから、よく噛んで食べるようにすると、
胃の消化は良くなり、腸の消化も自然と
良くなる。すべて関連がある。

一生を病気しやすく生きるか、無病で生きるか
の分かれ道にもなる。

難しいようだが、至極簡単である。
天に従うものは栄え、天に逆らうものは滅びる。
同様に如何に食べるべきかも定まっている。
腹がはりさけるだけ食うのは悪い。
しかし、悪いものを食べると余計食わざるを得ない。

悪い物の中には必要な養分が少ないから、
補うためには沢山食わねばならぬ。
そのために病気が起こる。
まことに因果である。”(引用終わり)

胆石にしても、食べるものとその消化が大いに
関連している。
たとえば、この季節、多くの人が消化器の不調を
感じやすいがその理由はさまざまである。

胃潰瘍や十二指腸カタル、大腸カタルや直腸を下がって
いくと、痔(じ)も消化器系の病に含まれる。 
ストレスで胃潰瘍になることはよく知られているが、
30代の無理を利かせやすい働き盛りの私の夫が
そうだった。

夫は、職業柄、真夜中に家を飛び出して、寝る暇も
なく働いたり、現場、特に、アフガニスタンなどの
内戦の中で、銃弾が体の脇をかすめる空気さえ感じる
所での仕事は、私には想像できないストレスを身心
に与えていたと察する。

その当時、胃の痛さを訴えていた。 
それでもいつの間にか、症状が和らぎ、海外で暮して
いたこともあって、放置したまま、3年間の任務を
終えて、日本に帰国した。

その際、会社の定期的健康診断と人間ドッグを受け、
”胃潰瘍の痕跡がある”と診断書に書かれ思い当たった
のが、その海外勤務当時の症状だった。 

いつの間にか、自然治癒して痕跡だけが胃の壁に
残っていた。
胃病はこのように、神経性な原因も多く、ストレスが
その引き金になっていることがある。

消化不良が原因で、慢性胃病になることも多い。
食物が胃に入って消化され腸に送られるまで
4時間かかるという。
しかし、胃の働きが弱く咀嚼(そしゃく)がうまく
いかないと、胃に食べ物が残る。

残ったところに、また、次の食事で摂った食べ物が
はいってくると、咀嚼がますます、弱くなり、
胃カタル、胃下垂、胃拡張という慢性胃病に
なる原因となる。

二木博士が、完全食とともに、小食を薦めるのも、
ここに理由がある。

適度に歯で咀嚼されてよくかんだ食品は、胃に
負担をかけずに消化され、そのまま腸へ送られる。 
すると、胃の中は、すっきりと空っぽ状態となり、
次の食べ物が入ってくるまでの間、胃は休息を
とることができる。

胃が空になるとき、胃の前壁と後壁が、小銭が
入っていない空っぽの財布のようにくっついて
しまっているという。

この状態で初めて胃は休養できるわけだから、
体の調子の悪い時、食欲が落ちると、栄養不足に
なることを心配して、無理やり食べ物を口に
押し込むと、むしろ、胃に負担をかけ、療養に
ならないということになる。 

身体の調子が悪い時は、胃を休めさせてあげる
ためにも、食欲がなければ、無理に食べない
ほうが、自然と体は回復していきやすいと言えそうだ。

健康な時は、お腹がすくと、食欲が出て、食物を
摂取したい気分になる。休息時間を与えられた胃は、
新しく入ってきた食物に元気よく活動を開始する。
胃が空の状態で物が入ってくると、ある程度の量
に達すると、胃がふくれて、物が十分入ったという
感触が湧く。 
この満腹感を、’内臓感’と呼ぶが、この内臓感を感じる
ことが健康な証拠だという。

それ以上食べなければ、胃病になる心配はないと
二木博士は言う。
この内服感を大切にして、そこで食物をとらなければ
”腹八分目” 状態。 
体にとって、適度な食事の量といえる。

さて、胃の中で消化されるのは主にたんぱく質だ。
脂肪や含水炭素はあまり、胃の中で消化されない。

胃の中にある塩酸(HCL)がたんぱく質に働く。 
するとたんぱく質は凝固する。

凝固して消化されると同時に、ここで殺菌作用が働く。
胃が丈夫であれば、多少のばい菌も消毒されて、力を失う。

塩酸で凝固した、たんぱく質はペプシンという消化液
によって溶かされて、ペプトンになる。

ペプトンになって、幽門を通過して腸に送られる。
このとき消化不良でその働きが弱くなっていると、
幽門を通過できないばかりか、無理して通過しよう
とする際に胃痙攣をおこしたりする。 

運よく、腸に送られても、消化が不完全なので
腸の第二消化が行われず、下痢になってしまう
理由がここにある。 

胃潰瘍の原因も、この ”第一消化が弱いため” 
といえないこともない。

胃が悪い時、吐き気がともなうことがある。
下痢して吐き気ということもある。

これは、幽門から咀嚼の悪い食物が腸に降りて
行かないので、噴門(ふんもん)を開いて口から吐き出
させるためだ。 

その際、大体、酸っぱいものが出る。
胃酸の酸っぱさだけでなく、乳酸が含まれているからだ。
乳酸がなぜ、造られるかというと、胃の中で
糖化できなかった炭水化物が発酵して、乳酸と
なるためだ。

つまり、乳酸菌が胃の中で繁殖しているわけで、
胃の中の塩酸によって、普通なら死んでしまう
乳酸菌が活発化している証拠で、胃が
弱っている状態といえるだろう。

乳酸ができているということは、炭酸ガスが
胃内にたまっている。

慢性胃カタルの人は、胃の中がガスが半分たまり、
流動体が半分残り、がぶがぶと音がするほどだから、
よくいう、”胸が焼ける”という感じになる。

そうして酸っぱいものが口に上がってくるときがある。
それが胃酸過多症といわれる症状だ。

これは、先ほど述べたように、胃の中の塩酸の酸
ではなく、乳酸の酸が過多になっている状態。

塩酸が多ければ、乳酸のもとになっている乳酸菌が
胃の中で殺菌されるから胃の中にガスがたまる
ということはない。

この胃酸過多症が原因で胃潰瘍が起きる場合が多い。 
乳酸菌の作る乳酸が胃の壁面を弱め、そのただれた所
から血管が切断させられて、出血。 

出血は繰り返されると、ただれた部位はだんだん
深くなり、胃の壁に穴が開く最悪の事態になる。

’胸が焼けた’感じとか、気持ち悪くて’吐き気がする’
というその時、どのようなことが胃や腸の中で
起こっているのか知ることで、胃に負担をかけない
ように、普段から食べ物の量と質には気を使う
余裕がでてくるような気がする。


*1)明治6年 秋田佐竹藩の藩医の家に生まれる。
20歳までいろいろの病気に悩み、玄米食の実行により、
健康となった。

明治34年東大医学部卒、駒込病院勤務中伝染病の
研究をしながら、栄養学的に食物の研究に努力する。
ドイツに留学し、天然免疫性に関する医学界
における世界最高の業績を残す。
帰国後、赤痢駒込菌を発見し、鼠咬症病原
スピロペーターの発見によって、学士院の
恩賜賞を受けた。

かたわら、二木式腹式呼吸を発表、玄米・菜食、
すなわち完全食を提唱した。
その間、当で愛教授、都立駒込病院長、
日本学士院会員、養生会会長、
豊島丘女子学園理事長、修養団団長、
その他多くの要職を兼ねる。

藍綬褒章を賜り、その後昭和30年11月3日、
文化勲章を授与せられた。

*2) “健康への道” ~完全正食の医学~ 
東京書院発行、昭和32年


 


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