チャクラと曼荼羅~浄土への祈り 平成25年8月31日
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曼荼羅は密教にとって、重要なもの。
その思想を示す図案であり、長い歴史をもつ。
普遍的真理の象徴的縮図とも、いえるだろう。
すべて万物が同一生命によって生かされ 同時に、
それぞれの個性が光り輝き、
しかも大調和の世界を顕わしているといえる。
曼荼羅の歴史は、密教が生まれる以前から始まる。
インドでヴェーダ哲学が認識された頃、紀元前
数世紀 からすでに、聖なる力をもつ図案として、
一般的に、活用されていたようだ。
それから 仏教が生まれ、チベット密教にも取り入れられ、
さらに弘法大師が、日本で真言密教を開き、曼荼羅が
知られるようになった。
曼荼羅は何のために使われていたのだろうか?
その昔、立体的な曼荼羅も存在し、建築様式の中に
取り入れられたりして、
印度にはその遺跡がみられる。
現在では 平面的な図柄の中で表されている。
菩提心論 に 次の言葉が見られる。
“真言法の中にのみ、即身成仏するがゆえに是 三
摩地(さんまじ)の法を説く。
諸教の中にけっして書かせず“
真言法というのは真言宗でいうところの行である。
どのような行かといえば、マントラを唱え、
手に印(いん)を結んで観想する。
この身がそのまま、仏であるという 自己の実相の
境地に達することを目標におく。
瞑想三昧になって、内在する実相心を全細胞隅々
に念を凝らして観ずる。
その際、曼荼羅は、その瞑想時に活用されてきた。
曼荼羅も含めて 密教観想においては、仏教の発生地
印度に古来より伝わる、
ヨガ的な生命力(プラーナ)の考え方の影響は否めない。
だから、この瞑想時の特徴はチャクラの活性化と
いえるだろう。
密教瞑想法においては、太陽神経叢、心臓神経叢~
ハートチャクラ甲状腺 ~ 喉のチャクラ への
働きかけが 活発に、行われる。
ハートのチャクラの二つの神経叢への活性化は
消化器系と循環器系に効用をあらわし、甲状腺の喉の
チャクラは 新陳代謝の働きを促進させる。
その結果、心身一如の原理から、体の健全化にともない、
心の働きの明晰化につながる。
たとえば、前頭葉・松果体・間脳への刺激ともに、
創造力や直観力を増すことになる。
心身共に調和のとれたとき、神の道(経)~自律神経
が整い、それが結局 実相の顕現、つまり、即身成仏
という 仏教の理想境地に達成できるという考え方がある。
集合的無意識の中心にあるのが、この理想境地である
とユングは述べている。
C・G・ユング著 ”東洋的瞑想の真理“ の中で曼荼羅
について次のように語っている。
“無意識の研究によって、その存在が確認せられている
もろもろの神話的モチーフはそれ自身としては
多元的な構造を持っているが、
この多元的構造の極まるところは重点を中心部に
置いた体系であり、
これこそが集合的無意識の中心、ないしは 本質
をなしている。
近代心理学が掲げた成果とヨーガによる認識との
あいだのこの注意すべき一致から、私は、この
中心的象徴の呼び名として、門を意味するサンスクリット
の用語、マンダラ という言葉を用いた“
(人間心理と宗教 C・G・ユング 浜川枝訳
日本経文社)
マンダラを集合的無意識と捉えているユングは
その無意識の中心に置かれる
価値の大きさについてはここでは触れていない。
曼荼羅の意識図のその中心に座すところの”意識と真実”
こそ、曼荼羅の真髄、空(くう)観、でもあるだろう。
その中心(空)に、意識を凝らして観想していきつくところが
即身成仏にほかならない。
その 空 から 自分という生命意識が分化し、
さまざまな他の表現生命とつながり、その繋がりが、
宇宙的な大円をなし、空 に 中心帰一すれば、
すべての存在は 壱 なり~ という、
理念がここにみられると思う。
大切なことは ユングが 真理への門 と名付けた
曼荼羅は、お寺の一角に飾られていても、それを実践する
のは 今この生かされている場以外の
どこでも無いということかもしれない。
いうなれば、曼荼羅は私たちの魂の中にすでに
書かれているアートマ世界の縮図でもある。