最近、庭で3度ほど珍しいあやしげな虫を見ました。新種?カラフルでふわっと1mぐらい跳び、近づくとまた1m位跳びます。虫の苦手な私は、半分見て半分目を背ける…といった感じでしたが、その時に脈絡もなく頭に浮かんでのが「ハンミョウ」という虫の名前。たぶん初めて見た虫だから、見たことのない虫「ハンミョウ」と結びつけたのかもしれません。
「ハンミョウ」は、ずーっと以前読んだ「砂の女」の冒頭にでてきました。昆虫を探しに砂丘に向かう教師が追い求めたのが「ハンミョウ」で、私は初めて聞く名前でした。(厳密に言えば、ハンミョウ属の「ニワハンミョウ」ですが)
「ハンミョウ」は事あるごとに私の頭に浮かび、口をついて出ました。ストーリーの不可解さとともに、私には幻の昆虫だったのです。
「砂の女」の不可思議な世界を思い出しながら「絶対にハンミョウに間違いない」と、なぜか根拠のない確信のようなものが広がりました。
ネットで調べると「当たり!」。私が見た虫はまさに「ハンミョウ」でした!数十年来の謎が、思いがけない形でやっと解決したことは喜びでした。この虫を追ったが故に、教師はアリジゴクのような砂の穴でもがき苦しむことになったのです・・・・・・。
現実でありながら、現実離れしたストーリーにまた引き戻されて、もう一度読み直しています。安部公房はやはり難解です。眠る前に読むものだから怖い、不安な夢を見るこの頃です。
ハンミョウの写真はネットからお借りしました
ところで、「ハンミョウ」は近年生息地が減少しており、県によっては絶滅危惧種に指定されているところもあるそうです。でも「私は見た!」。幸運なチャンスでしたが、それ以降は見ていません。
ニワハンミョウはもっと地味な色ですが、カラフルの方が神秘性を添えてストーリーにも合いそうな気が・・・。