萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

第49話 夏閑act.5―side story「陽はまた昇る」

2012-07-13 23:57:00 | 陽はまた昇るside story
このひと時に想いをこめて



第49話 夏閑act.5―side story「陽はまた昇る」

心づくしの夕食は、どれもが優しい味がした。
注いでくれたノンアルコールビールも、寛がせてくれる気遣いが温かい。
幸せな想いに箸を運びながら、微かな緊張を心抱いて英二は口を開いた。

「周太、昨日は俺が出た後、学校はどうだった?」

周太は藤岡から「ページが抜け落ちた本」を聴いたと話すだろうか?
越沢バットレスで藤岡に言われた「アクシデント」が光一の推測通りだったらどうしよう?
二つの心配を隠して笑いかけた先、黒目がちの瞳が困ったよう微笑んだ。

「ん、…ちょっと困ったよ?」

やっぱり「困ったよ?」なんだ?

「周太、何に困ったの?」

どうしよう、何で困ったんだろう?
自分が困りだしながら微笑んだ向かい、少しまた首筋を熱くしながら周太は口を開いた。

「英二を見送ってすぐにね、華道部で一緒の女のひとたちに捕まっちゃって…」

光一の答えが正解?

「誰に捕まった?何の用で?」

訊いた声がすこし機嫌が悪くなっていて、我ながら驚いてしまう。
そんな英二を不思議そうに見つめて、周太は答えてくれた。

「ちょっと名前は、解からないんだけど…宮田くん、何で今日から外出なの?って訊かれて、」

良かった、周太に告白じゃなかった。

「なんだ、そっか、」

ほっと笑って英二は角煮に箸を運んで、口に入れた。
醤油と味醂の味が優しい。旨いなと微笑んだ英二に、周太は首傾げこんで訊いてくれた。

「ね、英二は、何だと思ったの?」
「周太に告白したのかと思ってさ、」

さらり即答した英二に、黒目がちの瞳がひとつ瞬いた。
すこし驚いたような瞳のままで、周太は遠慮がちに言った。

「…あのね、英二?そのひとたち、英二のことを好きなんだと思うけど…」

そんなふうに訊いて回るタイプは、話したとしても心から楽しいとは思えない。
だから申し訳ないけれど興味もない、もう今まで何度も経験した事だから、これ以上は遠慮したい。

「そっか?」

さらっと言うと、英二はロールキャベツを口に入れた。
リクエストに応えてくれた料理の味は、前のときよりも美味しく感じられる。
この今が幸せで、その分ふっと光一のことが切なくなる。きっと今夜は独り、光一は寂しいだろう。
今頃は何をしているだろう?そんな想い見つめながらも、婚約者との時間に英二は微笑んだ。

「やっぱり周太の料理が俺、いちばん旨いな。こんな料理が上手くってさ、可愛い婚約者で俺、幸せだよ、」

笑いかけた先、なめらかな頬が気恥ずかしげに薄紅そまっていく。
そんな可愛らしい顔で俯き加減になった様子が愛しい、こんなのは困ってしまいそう?
この幸せな困惑に英二は笑いかけた。

「ほら、そんなふうに恥ずかしがったりして…可愛いね、周太。俺、ちょっと困るよ?」
「ん?…どうして困るの?」

顔を上げると周太は、不思議そうな無垢の瞳で見つめながら首傾げた。
ほら、そういうとこ可愛いから困るのに?なんだか熱くなる頬のまま、英二は笑った。

「ほら、また、そんなふうにするとね?ほんと可愛くて、俺、ときめくんだから。今すぐに、ベッドに攫いたくなるだろ?」

正直なまま誘惑を口にしてしまう。
けれど婚約者は初々しい紅潮に頬染めて、羞みながら可愛いトーンで言ってくれた。

「…そんなことしょくじちゅうにいわれてもこまりますから…」

そんなふうに言うから、ベッドに攫いたいんです。

ほら、可愛い、どうしよう?
でも作ってくれた料理は食べたいし、けれど可愛くて色々したくなる。
ただでさえ3週間、毎日隣で寝ているのに「色々」が途中までも出来ない日が多い。
お蔭で、ちょっと欲求不満になっているかな?自分に呆れながらも幸せで笑った英二に、周太が言ってくれた。

「英二、お替りする?ごはん、たくさん炊いてあるよ?」
「ありがとう、周太、」

答えて空の茶碗を渡すと、御櫃から丁寧によそってくれる。
その手つきが端正で見惚れているうち、茶碗をこちらに渡してくれた。

「前からで、ごめんね?」
「こっちこそ、いつもありがとうな。他に面白いこととか、あった?」

笑顔で茶碗を受けとって、箸を運びながら少し緊張が背筋を伸ばす。
そんな思いと何げないふう見た先で、黒目がちの瞳がすこし考え込んでいる。

―藤岡から聴いたこと、黙っていよう、って考えてくれてるのかな

そんな気遣いがどこか伝わってしまう。
ここで言わないでくれれば「周太は何も知らない」で、このまま通すことが出来る。
どうか何も知らないままでいて?そんな願い抱いた向こう、黒目がちの瞳が微笑んだ。

「部活の後、瀬尾と関根と話したよ?関根、お姉さんの話をしてくれた。すごく幸せそうだったよ、」

周太は、解かってくれた。
そんな信頼に微笑んで英二は相槌を打った。

「今日と明日はデートだって、姉ちゃんからメール来たよ。関根からも、」

ほんとうに姉も関根も幸せそうだ。
姉と関根が交際を始めて2週間、毎日ずっと関根は夜と朝とメールを送って、夜は電話もする。
それが姉にとって幸せな「毎日の習慣」になっている、それが嬉しくて、少し寂しい。

―けっこう俺、シスコンだよな?

姉は時に母代わりにもなって英二の面倒を見てくれた。
たった1歳しか違わない、けれど姉は年長として弟を愛して守ってくれる。
あの卒業式の翌朝も姉はすぐ英二の味方になって、両親に周太とのことを認めるよう言ってくれた。
きっとあの後も、毎日の生活の中で姉はさりげなく擁護してくれていた。
どうか姉には幸せになってほしいな?そんな想い微笑んだ向こうから、黒目がちの瞳が優しく微笑んだ。

「ん、関根、昨日は嬉しそうにその話、してくれたよ?お姉さんから俺にも、メールあったの、」
「へえ、姉ちゃんなんだって?」

訊かれて、すこし困ったよう周太は首傾げこんだ。
何で困っているのかな?そう目で訊くと答えてくれた。

「写メールが4枚、添付されてあってね?どの服を着て行ったら良いかな、って訊かれたんだけど…」

姉が着ていくものを相談するなんて?
いつも自分のセンスと気分で服を選ぶ姉なのに、やっぱり恋をすると変わるのだろうか?
それも周太に相談する当たり、第三者の男性の目で見てほしかったのかなと姉の乙女心が微笑ましい。

「周太、なんて答えたの?」
「どれも素敵です、でも明るい色がやっぱり綺麗です、って答えたけど…」

どれも素敵です。
そう周太に言われたことは姉にとって、自信になっただろう。
いつも周太の言葉には打算が無い、本質的な優しさから生まれる言葉が好きだ。そんな想いと英二は笑いかけた。

「デートだからね、明るい色は正解だと思うよ?姉ちゃん色素うすいから、明るい色が可愛いし、」
「ほんと?良かった、」

ほっとして微笑むと、周太は吸い物椀に口をつけた。
椀を持つ、箸を内側に向ける、どれも端正な作法が周太は馴染んでいる。
相変わらず綺麗に食事するな?見惚れながら英二は、ふっと良い傾向と懸念の両方を口にした。

「順調みたいだな、姉ちゃんたち。でも、母さんにはまだ、話せていないらしいけど、」
「ん、そうみたいだね?瀬尾がね、焦らない方が良いよ、って言ってた。お姉さんが良い変化をしたら納得するだろう、って」

英理の良い変化を見て、英二の母も「英理の相手」を認めていける。
そんなふうに瀬尾は言っている、そういう意見は「時間の経過」と心の変化を熟知している人間だろう。
いつから瀬尾は、こういう考え方をしているのだろう?驚きながら英二は賞賛に微笑んだ。

「うん、瀬尾の言う通りだろうな?すごいな、瀬尾。そういう考え方が出来るのって、」
「でしょう?…俺もね、すごいって思って。よく人を見ているから、そういう意見も言えるんだな、って思って…あ、あとね?」

あと、何かな?
そう見た先で周太が楽しそうに笑った。

「内山が声をかけてくれたよ、」
「内山が、なんて?」

ノンアルコールビールのグラスに口付けながら英二は、何げなく尋ねた。
ひとくち飲みこみかけた時、英二の質問への答えに周太は微笑んだ。

「来週の外泊日、お昼を一緒しない?って誘ってくれたんだ。来週は俺、大学もお休みだし」

外泊日、昼、一緒しない、って?

「…っごほっ、」

飲みこみかけた炭酸が、気管に迷い込んで迫り上げる。
そのまま盛大に英二は咽せ始めた。

「ごふっ、ごほほっ…ごほん、こほっ」

掌で口元を押えこむ、けれど喉の震動は止まらない。

「どうしたの?だいじょうぶ?」

驚いたよう立ち上がるとティッシュボックス持って隣に来てくれる。
ペーパーを渡してくれながら、優しい掌が背中を摩りだした。
その掌の温もりが嬉しい、けれど今、言われたことが気になって、なんとか英二は話そうとした。

「っほ、ん…だい、じょぶ、っこほっ、ごふっ…周太、それ、来週っ、こほんっこほ、へんじはなんて?」
「いいよ、って言ったけど?…」

いいよ、って言っちゃったの?

ちょっと愕然として、けれど待てよと思う。
同期の男同士で昼飯に行く、それは何の問題も無い筈だ?
それなのに自分の本音は「嫌だな」と思ってしまう、さっき花屋の女主人との会話を思い出すから。

「いつもの男の子は、今日はご一緒じゃないんですね?」
「はい、今日は家で待っててくれて、」

男の子、という言葉に彼女が周太を高校生くらいに思っているのが解かる。
元から可愛らしい顔立ちで小柄だから、制服姿でも高卒任官の新人に周太は間違われてしまう。
彼女の勘違いも無理はないな?納得しながら微笑んだ英二に、なにげなく彼女が言った。

「きれいで上品ですね、彼。優しくて、頭も良さそうで。きっとモテるでしょう?」

そう言ってくれた彼女が綺麗で、ちょっと妬いてしまった。
彼女が英二に好意を寄せてくれたことは年明けのときに気づいている、彼女は美人だなとも思う。
そして花を愛するひとだから、周太が憧れている事も本人から聴いてよく知っている。
さっきも彼女の作った花束を嬉しそうに眺めていた、そんな彼女に「モテるでしょう?」と言われて嫉妬してしまう

―…周太は首席で真面目で、マジ可愛いよな、ねえ?

越沢バットレスで光一に言われたことが、女性の目からも言われてしまった。
そこに内山から外泊日の誘いがあったと聞かされて、つい考えが短絡的になってしまう。

「英二、無理に話さないで?」

心配そうに周太が水のコップを手渡してくれる。
受けとったままひと息に半分ほど飲干して、まだ咽ながら英二は訊いた。

「行くの?…ごほっ、ふたりき、こんっごほっ、」
「ん、行くつもりだけど?…ね、無理しないで、英二?」
「ごほっ、…ふたりだ、っほんっ、ごほっ、」

ふたりだけで行くの?
ふたりだけはちょっと嫌だな、誰かも誘ってよ?
そう言いたいのに咽こんで、言葉が細切れに途切れてしまう

「英二?…治まってからで良いよ、ね、焦らないで?」
「だって周太、ふっ、ごほんっ、こほ…こほんっ」

だって周太、ふたりきりで飯に行っちゃうの?

ふたりで周太が出かけるのって、俺以外では美代さんと光一くらいなのに?
関根や瀬尾なら解るけど、なんで内山がここに出て来るんだよ?

「っ、ごほんっごほごほ、」
「だいじょうぶ?無理に話そうとすると、治らないよ?」
「ふた、りっ、ごほっこほんこほこほっ…」

ふたりきりでかよ内山?

どういう理由で内山は周太を誘ったのだろう?
周太とは優等生同士、初任科教養の最初のころ2人は競っていた。
それから話すようになって、時おり勉強の話をしたりしていたことも知っている。それにしたって?

「しゅ、っごほんこほんこんっ、なんでごほほんこほんっ、」
「英二?ね、治まるまで待って?…」
「でもっごほんこほんっな、んで、っ」

それにしたって、なんで俺がいない隙に誘うんだよ?
余計に気になっちゃうだろうが内山?
あいつ結構油断ならない?

「ごほっ、どうい、こんこんったいみんっ、ごほんっ」

ていうか、どういうタイミングで誘ってくれたわけ?

まさか風呂の時とかじゃないだろうな?
なんだかそんなの絶対に嫌だ。

さっきから質問がぐるぐる廻るけれど、咽て声は出てこない。
こんなに今、頭が疑問で苦しいのに、なんだってこういう時に限って、俺って咽るんだろう?

「ね、話すのは後にして、英二?ゆっくり、治まるのを待ってね?」

諭すよう声かけてくれながら、やわらかに温かな掌が背中を摩ってくれる。
心底から困りながらも今、この掌の幸せが温かい。



目覚めると、あまく清爽な香が暁に満ちていた。
昨夕に周太が剥いたという夏蜜柑、その残り香が2階まで昇ったのだろう。
どこか懐かしくて、清々しい香が心地いい。幸せに英二は腕のなかへと微笑んだ。

「周太?」

呼んだ名前にも瞳は披かない。
やっぱり疲れさせてしまった、自分の所為で。
そんないつもの甘やかな反省と一緒に抱きよせて、恋する寝顔を見つめた。

―きれいだ、周太

なめらかな頬は眠り安らぐ紅潮の、清楚な色香が初々しい。
長い睫こぼす翳には夜の涙の痕があわく残っている。
けれど口許は幸せに微笑んで、その唇の艶に吐息の記憶が目を覚ました。

―…ん…っ、え、いじ…

吐息こぼれる声、艶めかしくて。
夜のはざま視線と体温からめあう時間は、熱くて愛しくて。
幾度も契り交わして、眠り落ちかける恋人を抱きよせ繋ぎこんで、なめらかな肌と香に溺れこんだ。

もう疲れさせてしまうから、痕をつけてしまうから。

そんな自制心もあったのに、3週間ずっと耐えていた堰が決壊して。
あふれる想いのまま恋する瞳に酔いしれて、深く繋がる体温と感触に融けこむ夜を過ごした。
もう最後は崩れ堕ちるよう果てた恋人は、美しい涙こぼして眠りに墜ちこんだ。
そして漸く自分も充たされて、愛撫に埋めた体を抱きしめる幸せに眠った。

「愛してるよ…」

あまやかな記憶を唇に見つめて、やわらかな温もりキスふれあう。
眠りの吐息こぼす唇は無防備で、深めるキスも素直に受け入れてくれる。
なにもしらず夢見るひと、その無垢な眠り抱きしめ熱のまま、深いキス舌からめてしまう。
昨夜の時間に力尽きた体はされるまま、抱き寄せる腕へ撓んで寄添ってくれる。
そっと離れて見つめた、しなやかな肢体には清廉な肌いっぱいに、薄紅の花の痕が散っていた。
この赤い花は自分の唇が刻んだ、恋の服従。あわい花々うれしく英二は微笑んだ。

「きれいだね、周太…でも今は、もうつけられないね…」

今夜は警察学校寮に帰る、そうすれば大浴場で肌を晒してしまう。
そのとき愛撫の痕跡を見られても、本当は自分は構わない。だって本当は「自分の婚約者だ」と世界に告げてしまいたいから。
けれど警察学校の「校内恋愛禁止」の規則がある、それに何より周太本人が恥ずかしくて倒れてしまうだろう。
それとも、いっそのこと、

「いっそ、違反をばらしたら…」

規則違反を暴露したなら、辞職になるだろうか?
もし辞職したなら周太を「異動」から遠く引き離すことが出来る?
そんな考え巡らすうち、ふっと英二は苦く微笑んだ。

―ダメだ…俺だけ辞職になって、周太が残留させられたら、最悪だ

同じ警察官だからこそ、自分は周太を援けられる。
同じ男性で違う適性だからこそ、周太の「異動」先の支援部門に配属もできる。
そうしたら自分は、馨の軌跡に立つ周太をも離さないでいられる。
そうして追跡したなら、周太を救い出すチャンスを自分は、きっと逃さない。

逃げずに立ち続けるしかない、この危険な道に。
もう引き返せない、逃げようとしても「50年の束縛」は終わらない。
真直ぐ向きあい、断ち切る手段を探すしか道は無い。

「必ず、護りぬくよ?…俺の花嫁さん、」

そっと誓いに微笑んで、優しいキスで唇ふれた。
ふわり触れあう温もりが微かに震えてくれる、もう一度ついばむよう唇ふれて離れると、長い睫が揺らいだ。

「…ん、」

ちいさな吐息、くちづけた唇からこぼれだす。
このまま起きてくれるかな?一緒の朝を過ごしたくて英二は、求めるまま唇を重ねた。
重なりあう唇やわらかな吐息ふれる、吐息のすきま深めたキスに熱を絡ませる。
うっすら目を開けたむこう、長い睫が震えて瞳が瞠かれた。

「…あ、」

そっと離れたキスに吐息こぼして、黒目がちの瞳が見つめてくれる。
すこし途惑いながら羞んだ笑顔が、初々しいまま頬そめて大好きな声が言ってくれた。

「おはようございます、…はなむこさん?…大好き、」

約束の名前で呼んで、きれいな腕を体まわして抱きついてくれる。
そのまま唇ふれあい重ねて、恥ずかしげにキスから熱と香が移された。

―夏みかんの香、…あまくて、ほろ苦くて

あまやかなキスに蕩かされていく、自制心が折られる軋みを謳う。
ふれあう素肌の胸に腰に求めたい想いが起こされる、絡まる脚に熱が生まれそう。
とくん、鼓動が心ひっぱたいて、初々しい無意識の誘惑に英二は墜とされた。

「周太、キスさせて?…ふれさせて、」

夜の始まりを暁に告げて、英二は恋の奴隷になった。



明るい木洩陽ゆれる緑陰に、黄金の実を摘んで籠に入れる。
籠を持つひとが幸せに微笑んで、黒目がちの瞳が見つめてくれた。

「ありがとう、英二…来年も、お願いさせてね?」

来年も。

その言葉に籠る想いが切なくて、愛しくて。
手にした鋏を籠の傍に置くと、長い腕伸ばし婚約者を抱きしめた。

「来年も、再来年も、ずっとだよ、周太?」

そっと唇よせながら、瞳のぞきこんで、きれいに笑って英二は約束をした。

「50年後も、一緒だよ?」

心から祈る約束を瞳に見つめて、英二は周太にキスをした。



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