「携帯電話のいじり過ぎかも…」と左手の親指の付け根の痛みの相談にいらしたAさん。
どうやら母指内転筋という筋肉の故障(トリガーポイント)のようです。
しかし、立位からの運動検査をしていると、どうも右の足首の動きが怪しい。
実は、脹脛の外半分(長腓骨筋や腓腹筋外側頭、ヒラメ筋の外縁)の緊張は反対側の僧帽筋や三角筋へ緊張を波及させる例がよく診られるんです。
そして、上部僧帽筋は二頭筋の内側頭から腕橈骨筋を伝って母指の伸筋との連続性が強い。
なので、脚の筋膜に生じた緊張が、反対の上肢の機能障害の背景になることがるんです。(同側を伝う場合もあり)
Aさんの場合、脚から波及した緊張が母指の伸筋のトーンを高め、母指内転筋との綱引きをしていたことが親指の症状につながっているかもしれないと、そんな可能性が頭をよぎったわけです。
試しにAさんの右のふくらはぎの筋肉を弛緩させるて左の親指の痛みを確認すると…
Aさん「あれ?痛くない。」
親指を動かしてみると、先ほどより指の動きも大きくなっています。
こうした例では一生懸命に親指を治療してもキレも悪いし再発することが多い。
なので、幹部へ影響している周辺要因を取りもらさないことが大切です。
Aさんの症状は長腓骨筋の緊張緩和だけであらかた済んでしまいました。
若干残る母指内転筋の線維化へアプローチしてAさんの指の相談は終了です。
「指の痛みの原因(正しくは背景要因)が脚にあったなんて、不思議~(;゜Д゜)」
としきりに驚くAさん。
そうした風景も今となっては私の日常なのですが、よくよく考えると不思議ですよね。(^^;)
Aさんには再発予防のために簡単な「ふくらはぎのストレッチ」と「母指球のマッサージ」を伝え、「少なくとも1週間、二つを並行して行うように」とお願いしてこの回の治療を終えました。
最近冷え込んできたせいか、脚か波及した緊張が上半身へ症状をもたらす例が増えています。
脚を冷やすと風邪もひきやすくなりますから、皆さんどうぞお気を付けてください。