愛媛で秋のごちそうといえば「いもたき」。 家族や地域、職場などの親しいグループが、河原などの屋外で、 里芋といろいろな野菜を鶏肉などのだし汁で煮た鍋を囲んで、観月をしながら親睦を深めるものです。 もともとは南予で始まったらしいのですが、今では愛媛県下、河原のあるところではどこでも業者によるいもたきが行われています。 河原に提灯をつけ、ござを敷いて、ガスが用意されていますので、お金を払ってだしと材料を買い、自分たちで煮て宴会するのです。もちろん家庭でもよく作ります。
地域によって特徴があるようです。南予の方ではだしに川がに(もくずがに)を入れるとか。テレビで見ましたがおいしそう~。
実家の方の河原では、観月祭に花火大会が行われます。いもたきをしながら見る花火は、頭上に、星が降るように火花が落ちてきて迫力満点。
こちらのほうでは、橋の下に席があって、雨が降ってもできるというのが売りです。ところが、雨の日にいもたきをして、車を河原において帰ったら(もちろん飲酒運転をしないため)、一夜のうちに増水して車が水につかってしまい、動かなくなったなんて気の毒なこともあるみたい。
先日ちょっとおもしろい話を聞きました。某ホテルでいもたきのバイキングが行われているというのです。 以下、伊予弁の会話をお楽しみください。
K(友だち): ○○ホテルでいもたきのバイキングをしたんじゃけどね、テーブルの上に、ガスと、だしの入った土鍋がおいてあるだけなんよ。最初の一鍋ぐらいは炊いといてほしかった。
A(あた子): なに? いもたきの材料がバイキングなん?
K: ほうなんよ。自分で好きな材料取りにいくんよ。
A: 芋が食べたかったら芋を取ってきて炊くん?
K: ほうほう、さいさい(たびたび)取りに行くけんねえ、けっこういそがしかったわい。
A: なべの材料がバイキングなんて意味あるん? そんなことせんでも材料を適当にお皿に盛っといて好きなんを炊いて食べたらええだけじゃろ?
K: ほうなんじゃけどね・・・
A: それにしてもホテルでいもたきねえ。
K: もちろん他の食べ物もバイキングであるんじゃけどね。からあげとか、おすしとか・・・
野趣あふれるこの料理が、おしゃれなシティホテルでねえ。と、まあ、このくらい愛媛ではいもたきが盛んなのです。
というわけで今夜はいもたき。里芋、こんにゃく、ごぼう、にんじん、かまぼこ、豚肉(わたしは鶏肉がきらいなので)、松山揚げ、こんぶなどを使いました。もやしや椎茸その他のきのこなども使えます。どうしてもこれを入れなければならないというきまりはなく、冷蔵庫にあるもので作れるのでけっこう便利です。
そしてごはんは、くりごはん。生のキクラゲをきざんで入れました。
ところで伊予弁て、変換するととんでもない漢字がでてきます。手間取りましたー。