ジムソウチョウはおデブちゃん。 ついつい、座布団みたいなおしりをパンパンしたくなる。
おかあさん、なにしてるのかな? 毎朝ニワトリにえさをやるわたしを物陰からそっと見ている。
あそんで、あそんで。
ちょっとこわい。大きな車が来たので。
うちの犬たちは3代続く女系家族。正確に言うと、雄犬は生まれたけれど、うちにはいないということです。ジムソウチョウは多産の犬にはめずらしく一人っ子です。元気でひょうきんな彼女を、みんな雄だと思っていました。
名前、何にする?
クロ
いやだー。平凡な名前。
じゃあ、ジョンとか。
似合わん。
色が黒い人でえらい人の名前をもらおう。
アナン国連事務総長。
彼女には男の名前が付きました。
学校帰りの子どもたちが毎日遊んで帰るようになりました。
「ジムソウチョウ、おいで。」「ジムソウチョウ、こっちこっち。」「ジムソウチョウ・・・」「ジムソウチョウ・・・」
彼女は自分を「ジムソウチョウ」だと思いました。
「ジムソウチョウ、近頃太ったんじゃない?」「そうだねー。」
ジムソウチョウは、日に日に太り、やがて
「もしかして子どもがうまれる?」「うっそー」
ジムソウチョウは、4匹の子犬の母になりました。不幸にしてたった1匹の男の子は交通事故で死んでしまいました。また、女だけの家族になってしまいました。
避妊手術に連れて行った病院で
先生 : 名前は?
わたし : ジムソウチョウ
看護師さん:??
先生 : じょうだんじゃろ?
わたし : いえ、ほんとうは・・・でもジムソウチョウにしか反応しません。
普段はなんともないけれど、公の場ではとても恥ずかしい思いをします。
「だめだめ、これはわたしのものよ」 親になっても子どもみたいなジムソウチョウ。
残った3匹の子犬たちはすべて優しい方に引き取られ、幸せに暮らしています。その中の1匹、わんだーちゃんが、もうすぐ里帰りするのです。とっても楽しみ。