団塊世代の人生時計

 団塊世代として生きてきた「過去」、「現在」、そして「未来」を、自分自身の人生時計と共に綴り、「自分史」にしてみたい。

最低賃金

2012-12-05 18:26:43 | 政治
                           最低賃金

                                                    2012年12月1日(土)

 橋下日本維新の会代表代行が、最低賃金を廃止するということを公約に掲げました。
 いよいよ、新自由主義による「競争」論者が、「牙を剥き出した」という感がいたします。

 私は、この公約は多くの批判の前に、引っ込めざるを得なくなると考えていますが、橋下代表代行には、一旦言ったことを引っ込めるなんて「最低」な人間にならないよう、断固として主張し、維新の会として引っ込めるのであれば、会を辞めてでも自らの主張を行動に移す意地を見せてもらいたいものです。


 以上は冗談としても・・・
 橋下氏の考える「競争」とは一体何でしょう。
 資本家(企業)と労働者が同じ土俵のもとで、賃金という目標に向かって対等な競争ができると思っているのでしょうか?
 仮に、企業と労働者が対等な競争ができると考えているとしたら、現行の労働法制を真っ向から否定することになります。

 資本家と労働者では力の差があるので、社会法制を通じて、労働者の権利を保障するようになっているのです。
 橋下氏は弁護士ですから、そういった労働法制の考え方は私よりはるかに通じています。それだけに、極めて悪質と言わざるを得ません。


 この方の極言は、このように社会法制を否定するようなものの他、論理的に理解不能のものもあります。
 橋下氏は、「憲法9条とは、突き詰めると平和には何も労力がいらない、自らは汗はかかない、そういう趣旨だ。」と主張しています。これは随分乱暴な解釈と思いますけど、氏がそういう考え方をするのは「自由」です。しかし、東日本のがれき処理に関して、「日本では、がれき処理になったら一斉拒否だ。全ては憲法9条が原因だ。」に至っては、無茶苦茶な論理です。

 橋下氏は、右か左かと言えば、明らかにバリバリの右ですが、さすがにこの「全て憲法9条が原因だ」には、右翼中の右翼の方からも批判が出ています。

 
 「一水会」顧問の鈴木邦男氏は、11月22日の朝日新聞で次のように述べています。

 「自民、維新も改憲を主張しています。僕も学生時代はそう主張してきました。教育がダメなのも政治がダメなのも外交や防衛がダメなのもみんな憲法が悪いからで、憲法さえ変えればすべてよくなると。よく考えてみればそんなことあるはずない・・憲法という大きなものに責任を転嫁して、山積している現実の課題をなかなか片づけられないことに国民の目がいかないようにしている感じがしています。」

 右翼の方の主張だけに、説得力があります。


 先の最低賃金廃止の公約を廃止した時、橋下氏がどのような「極言」で言い訳するか、見ものです。




(2012年12月5日、追記)

 12月4日の朝日新聞によると、「最低賃金『廃止』を『改革』に」という見出しで、日本維新の会が衆議院選挙の公約に掲げた「最低賃金制の廃止」を「市場メカニズムを重視した最低賃金制度への改革」に修正したとあります。


 私が予想したとおりの結果になりましたが、橋下氏の「極言」の言い訳はアナウンスされていないようです。
 維新の浅田政調会長は取材に対し「我々の意図していたことが伝わっておらず、誤解を生む表現だったので直した」と説明したとありますが、一体どのような「誤解」を生むというのでしょうか。
 この「最低賃金の廃止」ほど明確なものはありませんよ。労働市場においてその市場メカニズムにより賃金が決まる訳ですから。


 同記事では、「廃止」は、維新が11月29日に発表した政権公約「骨太2013~2016」の中で、議論の余地があるとする政策実例に記載、とあります。
 橋下氏は、「政策実例」は「公約ではない」ととってつけたような言い訳をしていますが、「議論の余地」があるのであれば、党内議論を行って結論を出して発表すべきでしょう。こんな「議論の余地」があるものを「公約もどき」で発表されたら、選挙後どのようにも政策を変えることができるというものです。

 なんともはや、粗雑で乱暴な手法であることよ!
 橋下氏のブレーンには、経済産業省の元官僚で古賀茂明氏がいます。この方はTVに良く出て発言し、その緻密な頭脳には敬意を表していますが、橋下氏の粗雑な手法とは生理的に合わないハズです。
 この方もいずれ、飯田哲也氏と同様、橋下氏と袂を分かつことになると思います。
コメント
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