「学年だより」ネタにしようかと思って記録しておいたけど、使わなかった文章。
~ 普通の生活を忘れない 坂井真紀
「普通の生活を忘れないこと」。デビュー当時にドラマのスタッフの女性から頂いた言葉だ。「自分のことはきちんと自分でやり、歩き、電車やバスに乗り、野菜の値段もわかっていること。普通の人を演じるのだから、地に足つけて五感を研ぎすませて普段の生活をすること」
当時の私は弱冠21歳。他人よりも自分の意見が正しいと思うお年頃。思い出すと恥ずかしいことばかりだが、この言葉はなぜか「そりゃそうだ」とおなかの底にすっと落ちた。
あれから22年。特に仕事がうまくいかないとき、この言葉と自分の生活を確認する。朝起きて、着替えて、窓を開けて掃除をし、食事をして、散歩して、電車に乗って。落ち込んでいるのなら、やけ酒をしたっていい。空がきれいだな、これおいしいな、いい匂いがするな、人と話して楽しいな、心が苦しいな、なんて自分を見つめる。普通の生活を送れること、生きていること。とてもありがたいことだと思わなければ。
物事がうまく進まない時はたいてい、目の前にある状況に対して感謝の気持ちを忘れているのだな、これが。ちゃんと生きて、いい女優になりたい。(「朝日新聞12月1日」) ~
物事がうまくいかない時、つい自分以外に原因を見つけようとして、一層あせったり、いらついたりしてしまう。
そういうときに掃除はかなり効き目があるな。とりあえず机回りをごっそり袋につめて、机の表面が見えてくると、目の前も少し明るくなる。
冬期講習はまだまだ続くけれど、とりあえずいったん明日の終業式で落ち着こう。