水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

ライオン力

2021年02月07日 | 学年だよりなど
3学年だより「ライオン力」


 暗記のメカニズムを復習しておこう。
 私たちの脳は、毎日大量にインプットされる莫大な情報を、すべて覚えておくことはできない。
 インプットされた情報は、いったん短期記憶の棚におかれ、重要だと判断されたものだけが、長期記憶の棚にしまわれることになる。
 大事な情報か、そうでないかを判断する役割を担当しているのが、海馬とよばれる部分だ。
 長く勉強していると、「なかなか覚えられない」と感じることもあるかもしれない。
 脳科学的には、暗記に苦手も得意もない。何回もインプットされ、何回もアクセスされた情報は忘れない。これは自分の生命維持にかかわる重要な情報だと脳が判断すれば、忘れないようにできている。端的にいって、単語が覚えられないのはアクセス不足につきる。
 ただし、単語集をただ眺めていたり、教科書をマーカーで塗ったりしているのは、覚えるためのアクセスにはならない。毎日漫然とみている景色を、脳が重要情報だと判断しないと同じだ。
 声に出して読む、手で書くといった行為を加えることで、つまりちょっとした負荷をプラスするだけで、刺激は変化する。
 さらに、おかれた環境によって、海馬に重要情報だと判断させる技がある。
 大自然の中で生きるライオンを想定してみよう。
 野生のライオンにとって、自分のおかれた状況を脳がどう判断するかは、生命維持にかかわる。 とくに、「空腹」「移動」「寒さ」という条件下において、脳はフル回転する。


~ ① 空腹にする
 野生のライオンにとって、空腹は餓え死にするかもしれない大変なこと。だから脳は空腹を感 じると、記憶力をアップさせます。
② 歩く
 ライオンは、歩いたり走ったりしながら、命がけで狩りをします。だから歩くだけで、海馬は「命に関わることが起きている」と勘違いします。
③ 寒さを感じる
 冬は、獲物を捕るのが難しく、命が危険にさらされやすい季節。寒さを感じると、海馬は「命 が危ない!」と感じて活発に活動しはじめます。
 こんなふうに海馬に勘違いさせることで、効率よく覚えることができるのです。
     (池谷裕『東大教授が教える! デキる大人の勉強脳の作り方』日本図書センター) ~


 食事前に、暖まってない部屋で、歩きながら勉強する……。これが理想的な環境だ。
 満腹であったかい部屋のベッドに横たわって勉強できる人が存在しないことからも、納得できるのではないだろうか。
 寒い中、はるばる受験会場まで出かけていく電車の中での勉強、試験会場での本気のアウトプット……。受験という行為自体が、いかに脳力を鍛えるのに適しているかもわかるだろう。
 さあ、ライオンになって狩りに出かけよう。
コメント
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