1学年だより 無意識の「しもべ」
10時まで勉強しよう、もう眠いから寝よう、明日は友人とカラオケに行こう、やはり文系にしよう、部活さぼろうかな、昼は○○を食べよう……。
さまざまな意志決定を行いながら毎日をすごしている私達だが、それらをすべて自分で決めていると思いがちだ。しかし脳内の実情は異なる。むしろ決めさせられている。
昼にラーメンを食べるかカレーを食べるかなんて自分の決断でしかない、と思うかも知れないが、むしろ意識は後付けだ。実際には、無意識がそうするように仕向けているのだ。
だから意識レベルで気づかないうちに、誰かを好きになったり、距離を置きたくなったりする。 意識レベルでは好きではないはずのことに、気づいたらのめり込んでいるようなことも起こりうる。そもそも好き嫌いとか、何に興味があるかとかは、意識レベルで説明できないものだ。
たとえば、お金持ちになる人は、無意識レベルでお金持ちになる生き方をしていると、勝間和代氏は言う。
~ 現在、お金持ちになっている人の多くは、「お金持ちになる方法」をもうほとんど無意識に知っている人になります。最もわかりやすいのは、家庭環境の影響でしょう。
私は中学から慶應義塾大学の付属校に入学しましたが、付属の小学校(幼稚舎)から上がってきている同級生たちは、本当に桁違いのお金持ちの子弟がたくさんいました。そんな同級生たちは、びっくりするくらい頭のなかがお金持ちマインドなのです。
彼、彼女らはまず無駄遣いはしませんし、お金をかけるときは必要なところにだけかける。そして、なんといってもお金を稼ぐときは誰かに雇われて従業員として働くのではなく、どんな小さなものであっても自分で起業して稼ぐ、ということを実践している。それは、現在でも仕事を展開している人がほとんどなのです。
私の同級生たちは、お金持ちマインドを本で学んだわけではありません。小さい頃からお金持ちマインドで生活している親の姿を見て育ってきているのです。だからそれが当たり前だと思っています。
子どもの頃から周りの友人たちもそのように行動する人たちばかりなので、それにしたがっていたら、特に親から遺産をもらわなくても、独力でお金持ちになってしまっている。もはや無意識にお金持ちなのです。
(勝間和代『勝間式 金持ちになる読書法』宝島社)~
勝間氏の話は、「お金の話」だけなくいろんなことにあてはまることに気づくだろうか。
無意識を形成するのは、知識や経験の蓄積だ。
どれくらい勉強できるかの体質、時間の使い方、読書量、日常会話での話題、テレビの情報の信じ具合い、人付き合いの仕方……。どんな環境で生まれ育つかによって、その人の無意識部分が徐々にできあがっていく。