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アイの物語 山本弘

本書を読んで思ったことは「これはすごい傑作だ」ということだ。しかし本書は2年近く前に刊行された本で、その間に何かの賞を取ったとか、話題になってベストセラーになったという話を聞かない。ということはいわば隠れた傑作ということになるだろう。この2年間で何度か「素晴らしい」という書評は目にしたが、どちらかというと「SF愛好者」の間での評判止まりだったのではないだろうか。もしかすると「SF愛好者」の数が減少しているのかもしれない。
 本書は「機械が人間を支配する未来世界」の話で、機械に捉えられた少年が機械から聞かされる7つの話で構成されている。7つの話のそれぞれが「機械と人間のつきあい方」に関する独立した話で、いずれも単独で読んでもものすごく面白い話だ。それを順番に読んでいるうちに、「機械が人間を支配する世界」の本当の意味が浮かび上がってくるという全体構成になっている。とにかくどのストーリーも面白いし、最後に判る全体の構成も素晴らしいの一言に尽きる。SFは全くだめという人でない限り、楽しめることは間違いないだろう。
 私はどちらかというと単行本が好きだ。単行本は大きくて重いので電車などでは読みにくいのだが、文庫になる前に読みたいという気持ちが強いからだ。しかし読もうと思って購入しても、読むのが追いつかない。そうこうしているうちに文庫化されてしまい、何のために単行本を買ったのか判らなくなる場合がある。最近そうしたケースが増えているような気がする。考えられる理由は2つ。第1は当方の読むペースが落ちていること、そしてもう1つは文庫化までの期間が短くなっていることである。本書もそうした本の一つで、読もう読もうと思っているうちに文庫化されてしまった。しかし文庫化で、多くの人の目に触れるようになり、この傑作が改めて高い評価を獲得すると良いなぁと思う。今年の「文庫大賞」の一押しのように思われる。(「アイの物語」山本弘、角川書店)
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田口壮 RC MLB

日本人大リーグ選手田口壮のRC。田口選手のサインは以前何枚か持っていたが、結局全部手放してしまったので、このブログでの彼の紹介は、今回のRCが初めてとなる。このRCは、選手がデビューした直後に販売される廉価版の中の1枚なので希少性は全くないが、デザイン的に回りの黒とカーディナルスのユニフォームの赤のコントラストが格好よい。選手の写真が大きく扱われているのも良い。
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