2002年までNHLでプレーしていたカナダのホッケー選手、スツ・グリムソンのサインである。NHLのキャリアは、カルガリー・フレームスに始まり、シカゴ、アナハイム、デトロイト、ハートフォード、カロリーナ、ロサンジェルス、ナッシュビルと、実に14年間で8チームを渡り歩いた選手である。彼は「タフガイ」としてNHLでもかなり有名な選手だった。NHLの場合、「タフガイ」の他に「エンフォーサー」「ファイター」という呼び名もあるが、乱闘専門の選手がいる。もちろん世界水準のホッケー技術を持ったちゃんとしたプレーヤーなのだが、相手チームとのいざこざが起きると、チーム全体の士気を高めるために進んで乱闘の先頭に立つ選手がいる。それが「タフガイ」と呼ばれる選手だ。このグリムソンは代表的な「タフガイ」で、記録を見ると700試合に出場して、退場処分を受けた時間が2000分を超えている。要するに1試合に1.5回は反則で退場処分を受けている勘定になる。逆にゴール数は14年間で17しかない。彼の得点は年に1回くらいしかみられないということになる。
そういう選手が8チームもチームを渡り歩いて大丈夫なのだろうか、昨日けんかした相手と今日はチームメイトということになってやりにくいのではないかと思うが、それはそれで割り切って「味方チームの士気の高揚」という自分の役割を果たしているのだろう。ある意味、大変NHLらしい選手だ。