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アル・アンサー・シニア/ジュニア サイン インディ500

世界的なカーレーサー親子、アル・アンサー・シニア、アル・アンサー・ジュニアのダブルサイン。父親のシニアがインディ500を4度制覇、息子のジュニアがインディ500を2度制覇しており、いずれも稀代の名レーシング・ドライバーである。シニアの兄弟のボビー・アンサーもインディ500の優勝経験があり、ジュニアの息子もレーサーという筋金入りのレーサー一家だ。カーレーサーというのは、なぜか名ドライバーの息子もレーサーというケースが多い。日本の中島悟の息子も父親を超えるような立派なレーサーだし、海外でもジル・ヴィルヌーブ、ネルソン・ピケといった名ドライバーの息子がレーサーとして活躍している。立派なレーサーになるためには、お金がかかるということもあるし、家庭環境のようなものも大切なのだろう。
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ユダヤ警官同盟(上)(下) マイケル・シェイボン

本書は、それほど厚くない文庫本の上下だが、ここ数日間体調不良(新型インフルエンザではありません)で、読み終えるのにまるまる1週間もかかってしまった。本書は年間ベストSFに授与されるヒューゴー賞、ネビラ賞、ローカス賞の3賞を久しぶりに(私が知る限りではオーソン・スコット・カードの「死者の代弁者」以来)すべて独占受賞、しかも年間ベスト・ミステリーに授与されるエドガー賞の候補作品にもなり、さらに作者自身が前作でピューリツァ賞を受賞している、という文学賞づくしのような評判作の待望の邦訳である。
 内容も歴史改変SF、ミステリー、ハード・ボイルド、純文学の要素を併せ持った、本当に一筋縄ではいかない作品だ。乾いた情景描写のなかにストーリーを理解する上で重要な表現がちりばめられていたり、いろいろな比喩的表現と実際の出来事の記述がシニカルな文体で渾然一体となっていたりしている。そうした雰囲気は、SFというよりは、アンチヒーロー物のハードボイルドに近い。こういう文章に慣れていない私のような者が本書を読む場合は、少しまとまった時間を読書に割けるタイミングを選んだ方がよかったかもしれないと思った。
 ストーリーは面白いことは面白いのだが、どうも全面的にその世界に浸ることが最後までできなかった。おそらくユダヤ教やキリスト教の知識やアメリカにおけるユダヤ教の意味というようなことに対する知識が不足しているからだろう。例えば、本書では、登場人物の会話のところで、「英語で」「イディッシュ語で」「ヘブライ語で」といった注釈が頻繁に出てくるが、それぞれがどういう意味なのか、後から読んだ解説で初めて知った。初めから知っていればもっと違った読み方になったかもしれないと思う。また、キリスト教徒のなかにも「シオニズム」があるということも本書で初めて知った。西欧社会における複雑なユダヤ人の問題に関する知識が、この作品を読む場合には不可欠のような気がした。
 本書は、早くも映画化が決まっているということだが、そうした宗教的な複雑な点を判りやすくし、娯楽的な要素を強調し、さらにストーリーを視覚で追うことができるように作られれば、日本人にも楽しめる「ダヴィンチ・コード」のような歴史ミステリー&サスペンスのテイストの作品ができるような気がする。そうなれば苦労して本書を読まなくてもその世界を堪能することができて、忙しい人にはそちらの方が正解かもしれないと思った。(「ユダヤ警官同盟(上)(下)」マイケル・シェイボン、新潮文庫)
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