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幽霊の2/3 ヘレン・マクロイ

本書は知る人ぞ知る幻の名著で復刻希望の読者ランキングNO.1の作品だという。最近こうした「入手困難になっていた名作の復刻版」を本屋さんでよく見かける。それまで知らなかった作品が読めるのはありがたいことだ。さて本書だが、とにかく面白い。本書最大のトリックは途中で「かもしれない」と思いついたが、真相の全体像には驚かされた。真犯人があばかれるところは「根拠はこれだけ?」という感じだが、そこまでの話の面白さのせいで、そんなことはどうでもよくなってしまっている。また本書の最大の良さは、読んでいて文章が非常に判りやすく、翻訳書ではなかなか難しいだろうユーモアもちゃんと面白く伝わってくるところだ。この本の翻訳者が、格調の高さとかしゃれた表現などよりも判りやすい訳語を選んでくれている。翻訳本の売上げ不振が叫ばれる昨今だが、こうした素直な翻訳があれば国内物・海外物といった分け隔て無く楽しめと思った。(「幽霊の2/3」ヘレン・マクロイ、創元推理文庫)
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