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弁護側の証人 小泉喜美子

本書が書かれたのは40年以上前の1966年で、作者は20年以上前に事故で亡くなっているそうだ。昔の本が再文庫化されるのは昨今珍しいことではないが、それでも30年ぶりというのはよほど「復刻」の要望が強かったのだろうと推察される。私自身も、遠い昔の学生時代にこの本を読んだ記憶があり、本歌であるクリスティの名作「検察側の証人」と甲乙つけがたい面白さだったのを覚えているのだが、内容は全然思い出せない。裏表紙の解説に「日本ミステリー史上に燦然と輝く伝説の名作」とあり、帯には「我孫子武丸、法月倫太郎、綾辻行人などの各氏絶賛」とある。
 読後の感想としては、期待に違わぬ面白さで、2度目だというのに本書最大のトリックには完全に騙された。最初に読んだ時に比べてこちらもかなりすれてきたはずで、確かに最初のところで「もしかして?」と思ったのだが、結局はすっかり作者の術中にはまってしまった。(「弁護側の証人」小泉喜美子、集英社文庫)
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