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明治という国家(上・下) 司馬遼太郎
たまたま近くの駅前の小さな本屋さんで見かけた本書。この店の単行本コーナーは棚のほんの数段にすぎないのだが、この店に入って時々その棚を隅から隅までチェックするのを楽しみにしている。そうして何度も見ているはずなのだが、不思議なことにその日までこの本は目に入らなかった。いつからその棚に置いてあったのかは判らないが、大河ドラマの「龍馬伝」ブームにあやかって置いてあるという風情ではなかったのが、天邪鬼のようだが、読もうと思ったきっかけだった。
本書は、著者が様々な歴史小説を書く過程で仕入れた知識を体系的にまとめた、幕末から明治にかけての日本の近代国家成立期に関する本だ。一つ一つの話は、それほどマニアックなものではなく、登場する人物やエピソードもどこかで聞いたことのある話が多いのだが、それを体系的に読むと実に新鮮というか、頭の中が「そういうことだったのか」という気持ちで晴れ渡るような感覚になる。特に幕末時の日本内部の多様性が明治国家成立に大きな役割を果たしたという部分には、新鮮な驚きを禁じえない。既に明治国家の雛形のようなものがあった長州藩、徳川体制の重要な一員でありながら結果的に徳川体制崩壊の立役者となった薩摩藩、藩の歴史のなかで自由民権の芽を育ててきた土佐藩といった各地域の多様性の説明、sらにそれらの多様な風土が木戸孝充、西郷隆盛、大久保利通、坂本龍馬などの個人の資質を育んだという部分などは、その描写の見事さ・的確さに心が震えるような気がした。上下巻を読み終えても、本書の内容を全部を消化しきれていない気が強くする。読み終えたばかりなのに、少し間をおいて是非再読してみたいと思ってしまった。(「明治という国家(上・下)」司馬遼太郎、日本放送出版協会)
本書は、著者が様々な歴史小説を書く過程で仕入れた知識を体系的にまとめた、幕末から明治にかけての日本の近代国家成立期に関する本だ。一つ一つの話は、それほどマニアックなものではなく、登場する人物やエピソードもどこかで聞いたことのある話が多いのだが、それを体系的に読むと実に新鮮というか、頭の中が「そういうことだったのか」という気持ちで晴れ渡るような感覚になる。特に幕末時の日本内部の多様性が明治国家成立に大きな役割を果たしたという部分には、新鮮な驚きを禁じえない。既に明治国家の雛形のようなものがあった長州藩、徳川体制の重要な一員でありながら結果的に徳川体制崩壊の立役者となった薩摩藩、藩の歴史のなかで自由民権の芽を育ててきた土佐藩といった各地域の多様性の説明、sらにそれらの多様な風土が木戸孝充、西郷隆盛、大久保利通、坂本龍馬などの個人の資質を育んだという部分などは、その描写の見事さ・的確さに心が震えるような気がした。上下巻を読み終えても、本書の内容を全部を消化しきれていない気が強くする。読み終えたばかりなのに、少し間をおいて是非再読してみたいと思ってしまった。(「明治という国家(上・下)」司馬遼太郎、日本放送出版協会)
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