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死海文書~聖書誕生の謎 和田幹男

何気なく手に取った本書だが、死海文書についての基礎知識をおさらいするのに大変役立った。死海文書について、作成された時代の状況、旧約聖書や新約聖書との比較、これまでの研究成果などがきちんと整理されて書かれている。そうした網羅的であることの良さに加えて、本書が決定的に良いのは、2010年10月に死海文書の全文がGOOGLEで一般に公表された直後に書かれた本であるということだ。これまで本文が完全に公表されなかったために、バチカンの陰謀説、キリストがクムラン教団のメンバーだったなどといった、憶測や風聞がまかり通っており、私もいろいろそうした本を読んだ記憶がある。本書はそこの白黒がつくようになってから書かれているというのが有り難い。GOOGLEで公表された本文は、ヘブライ語だったりギリシャ語だったりで、もちろん私には読むことは出来ないが、それでも一般に公表されたという事実は、珍説やトンデモ本の数を減らしてくれるだろうと期待できる。ネット時代の恩恵はこういう形でも得られるのだと感じる。(「死海文書~聖書誕生の謎」 和田幹男、ベスト新書)
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