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ぼくは落ち着きがない 長嶋有

昨年の文庫大賞のベストテンに入っていたのでいつか読もうと思っていた本書。著者の本を読むのはこれが初めて。裏表紙の短い解説を読んでもどういうジャンルの本か良く判らないまま読み始めた。図書部員である女子高生の一人称で書かれているのだが、独特の語り口が大変面白い。ある書評で「著者は頭の中に女子高生を1人住まわせている」といった表現があったが、正にその通り、今どきの女子高生というのは頭の中でこういう独り言をしているのだろう思わせるような絶妙の雰囲気がそのまま文章になっている。数年前に永井するみの「カカオ80%の夏」という本を読んだ時に同じような感覚をもったのを記憶しているが、「カカオ‥」はミステリー要素のある作品だったのに対して、本書は大きな事件は何も起こらずその文体だけで読ませてくれる。ある意味ですごい作品という気がする。(「ぼくは落ち着きがない」 長嶋有、光文社文庫)

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