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地上の飯 中村和恵

NHKのブックレビューで紹介されていた本書。翌週、本の題名も著者名もうろ覚えのままいつもの横浜の本屋さんに行ったら、ちゃんと判るように置いてあった。こういう配慮は本当に有難い。本書は、著者が思いつくまま「食」に関するあれこれを綴ったエッセイ集だが、地産地消に思いを巡らせた叙情的な文章あり、びっくりするような悪食の話ありで、バラエティに富んだ内容だ。イモ虫の味に関する詳細な報告を読んでいると、虫を食べることなど何でもないように思えてくるし、「イルカがうまい」という記述には、こんなことを書いて大丈夫かなとハラハラさせられる。「日本人はうまいか?」という話では、食人習慣のある部族の人の話として「西洋人は塩辛すぎて不味いが日本人は美味しい」というコメントが紹介され、そのコメントの出所を探りながら、西洋人の歪んだ「土人趣味」にまで考察が及ぶ。しゃれではないが実に味わい深いエッセイ集だ。(「地上の飯」 中村和恵、平凡社)

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