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泣ける話笑える話 徳岡孝夫・中野翠

随筆家2人による書き下ろし随筆集とのことで、帯に「これぞ本物」と大書してある。著者の顔は何となく記憶にある程度だが、2人とも雑誌のコラムを永年担当してきたその道では有名な名随筆家なのだと推察される。1つ1つ読んでいると、我々よりも少し前の世代の人たちが歩んできた道が、平坦ではなかったこと、それでも充実した面白い道だったことが判り、暖かな気持ちになる。思い出というのは、そうしたものなのだろうが、それを文章で著すことのできる人というのはやはり有り難いものだ。後世に伝えるべきものを持って時代を生きてきた人が、それを伝える才能を持っているとは限らない。その2つが出会うことの大切さを思い知る1冊だ。(「泣ける話笑える話」 徳岡孝夫・中野翠、文春新書)

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