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4012号室 真梨幸子

本書はある意味でかなり不思議な本だ。読み進めてもなかなか全体の状況がみえてこない。途中でこのモノローグが誰のものなのかよく判らなくなる。時間軸も、行ったり来たりはしていないようなのだが、突然10年が経過してしまったりで頭の中の整理がつかない。2人の登場人物がすごく似ていたり全く違っていたりで、人物造形もどうもはっきりつかめない。そうこうしているうちに、残りが数十ページになってしまった。最後に、謎ときがあって、全てが明らかになるのだが、何故かそれでも全然すっきりしない。あの誰だか判らないようなモノローグは普通に考えていいのだろうか、結局、全ての事件の原因は何だったのか、読み終えても、判ったようで判らない部分が残る。普通ならば、破たんをきたしてしまっているようにも思えるのだが、そう単純でもないような不思議な印象を残して終わる不思議さが後を引く本だった。(「4012号室」 真梨幸子、幻冬舎)

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