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(株)貧困大国アメリカ 堤未果
「貧困大国アメリカシリーズ」の第3弾。ルポ風の読み物だった前の2冊に比べて論文調の本書はますます内容が充実、読み応えのある1冊だ。食品業界の政治との癒着の章などは、日本のメディアではほとんど見かけない話だが、話がアメリカだけにとどまらない日本にも深く影響する問題だということが判り、その重要性、恐ろしさがひしひしと伝わってくる。これだげ話の内容が怖いと、当然これを放置していて良いのだろうかという気になるのだが、それと同時にそう思っても何も出来ない無力感のようなものが読者の心に強く残る。本書は警告を発する問題は全て「人々が知らない間に」徐々に進行してしまう問題でもある。人間はそれほど賢くもないし、人々の利己的な行動の総和が恐ろしい事態を招くというのは歴史の教訓だが、本書から我々は何を学べばよいのか、真剣に考えなければいけないと痛感させられる。本書について欲を言えば、全く日本の現状について触れられていないのが残念で、そのあたりのことも教えてもらえれば良かったと思う。(「(株)貧困大国アメリカ」 堤未果、岩波新書)
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