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ようこそ我が家へ 池井戸潤

主人公は平凡な会社員。その彼に仕事上のごたごたと、個人的な心配事が同時に降りかかる。いずれもどちらかと言えば社会的にはありふれた話なのだが、それが個人レベルでは非常に恐ろしいものだということが判ってくる。普通であればこういう嫌な話は読んでいる途中であまり読みたくないという気分になってしまうのだが、著者の本の特徴だと思うが、次第に「反撃する主人公」を応援する気持ちが湧いてきて、どんどん読んでしまう。そして実際平凡で真面目な主人公が窮地を乗り越え、小さなヒーローになる。ストーリーとしても終盤で何回もひねりが効いていて面白い。個人的にはひねりが1つ多すぎる気がするが、読者へのサービスと考えればそれもプラスだろう。軽い作品だが満足度の高い1冊だ。(「ようこそ我が家へ」 池井戸潤、小学館文庫)

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