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ノア・P・シングルトンの告白 エリザベス・シルヴァー

話は単純で、ある女死刑囚にところに、彼女に娘を殺された母親が弁護士として、死刑を執行しないように嘆願運動をすることを勧めにくるという場面から始まり、それから延々と死刑囚である主人公の視点から彼女自身の生い立ちと「殺人事件」を起こすまでの経緯が回想されるというものだ。どこかでこうした流れに転機が来るのか、どういう展開になっていくのかあまり判然としないまま、ページは進む。何とももやもやした感じだが、やがてそれに慣れてくると、その話のなかから何かを見ようとする、ミステリーを読むときのいつもの感覚が戻ってくる。こうして話は進み、最後に期待通りの意外な結末。意外性はさほどでもないが、それまでじっくり主人公の話を聞いてきたので、大いに納得の結末だった。(「ノア・P・シングルトンの告白」 エリザベス・シルヴァー、ハヤカワ文庫)

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