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買い物かご キンキントゥー

日本語ではめったに読めないミャンマーの作家の短編集。仕事でつながりの深いミャンマーという国の国民性のようなものを知りたくて読んでみた。「買い物かご」という題名の通り、ミャンマーのマンダレーという都市の「市場」を舞台にした様々な人々のことが描かれているが、これが予想以上に面白かった。市場でものを売ったり買ったりという日常生活が淡々と語られるだけなのだが、そうした人々への眼差しの優しさがひしひしと伝わってくるし、ミャンマーの人々が飄々としながらも真面目に生きているさまが生き生きと描かれていて面白い。ミャンマーの通貨の「1チャット」は日本円で「0.1円」ということなのだが、それを念頭に置いて読むと、1円2円のために一生懸命物事を考え、奔走する人々に強い敬意の念を感じる。経済成長とか海外企業の進出に湧くミャンマーだが、今でもこうした暮らしがミャンマーという国の本質、本来の姿だと思うと、胸を打つものがある。ミャンマーを知る最高の1冊だと感じた。(「買い物かご」 キンキントゥー、大同生命国際文化財団)

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