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秘密は日記に隠すもの 永井するみ

著者の本は何冊か読んでいて、最初に読んだ「カカオ80%の夏」が大変面白かったという記憶が強いのだが、本書の裏表紙の解説を読んで、作者が2010年に死去しており、本書が絶筆だということを知ってびっくりした。慌ててネットで調べると、読んでいない作品がかなりある。短編集はまだ1冊も読んだことがない。これから作者の本を少しまとめて何冊か読んでみようという気になった。本書は、すべて日記形式で書かれた短編4つで構成されている。全く別個の話のようにも見えるが、中には登場人物が若干ダブっていたりして、完全に別の話というわけでもないようだ。それぞれの短編に共通しているのは、本当の秘密を日記に書いているようでいて、実はその日記の内容自体にさらに隠された秘密があったり、読み手を意識した嘘があったりという複雑な構造が巧みに隠されているということだ。日記に書かれた秘密とは、その内容そのものではなく、その動機であったり、嘘の目的であったりということで、このタイトル、実にうまくできているなぁと感心してしまった。(「秘密は日記に隠すもの」 永井するみ、双葉文庫)

都合により10日ほど更新をお休みします。

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