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ブラック奨学金 今野晴貴

とても気になる題名だ。これまでに読んだ本で、奨学金を借りた学生の破産がアメリカで大きな社会問題になっていることは知っていたし、少し前にNHKの番組が日本における奨学金の問題を取り上げているのを見た記憶がある。しかし、どちらかというと奨学金による若者の破産が増えているとう問題はアメリカでは深刻化しているが、日本ではまだまだと思っていたのだが、それが完全な間違いであることを本書は教えてくれる。本書に掲載された教育に関する「負担」と「支援」の関係を国際比較した表は非常に説得力があるし恐ろしい。日本の政策の遅れが、ひどいと思っていたアメリカ以上に悲惨だというのには驚かされた。日本でも最近。「貸与型奨学金」から「給付型奨学金」へのシフトが進められていて、その方向性は間違っていないものの、その中身はかなりお粗末だと、本書は指摘する。また、少子高齢化の進展で若者の能力を社会に活かしてもらうことが唯一日本が生き残る道であるという著者の考えにも説得力がある。何かこれまでの社会サービスを犠牲にしてでも、この問題に大胆に取り組む必要があると強く感じた。(「ブラック奨学金」 今野晴貴、文春新書)

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