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水鏡推理5 松岡圭祐

ついこの間始まったばかりのような本シリーズも第5作目。文科省の予算に群がる悪徳科学者や企業研究者の不正を暴く「水戸黄門」的なストーリーはやはりいくつ読んでも面白い。本作では、主人公が新しい部署に異動になり、心機一転新しい環境に馴染んでいこうとするところから始まる。その環境の変化が上手にストーリー展開や読者のミスリーディングに活かされていて著者の周到さを感じる。また、話の内容は、これまでのシリーズ作品の中でも特に重たいテーマを扱っており、読んでいて息苦しくなるほどだが、それでも読むのを止められなかった。これまでの作品のなかでも屈指の名作だと思う。本書は、前作を読んでからあまり時間が経っていないような気がして、何となく読むのを後回しにしているうちに入手してから読むまでに半年以上経ってしまったが、次作からもう一度新しい気持ちで読めると思った。(「水鏡推理5」 松岡圭祐、講談社文庫)

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