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マンション格差 榊淳司

かなり前の話になるが、本書は本屋さんで偶然見かけて、面白そうな題名なので読んでみることにした一冊。その時に新聞のベストセラーのランキングをみたら、ノンフィクション部門のベスト10に入っていた。この本の題名に惹かれて読んでみようという人が多いのかもしれない。「自宅を持つなら一戸建て」という「一戸建神話」という言葉を聞かなくなって久しいが、社会の高齢化が進むにつれて、様々な点で「集合住宅」というものの良さが見直されている。また、そうした実用面での問題に加えて、高齢化社会では多くの人が「相続」という問題に直面し、代表的な資産である「住宅」というものに対する見方にもそうした要素が確実に大きくなっている。本書を読みたいと思う人には、そうした人々の考え方の変化、心配事、関心事について役立つ知識を与えてくれるのではないかという期待があるのだと思う。本書には、中古マンション価格の実態、タワーマンションの闇、マンション管理組合に関する注意事項など、ためになるエピソードが満載だ。新書サイズの啓蒙本の大きな役割が、読者の知りたいというニーズに的確に応えることだとすれば、本書はまさにそうした本の良い意味での典型例と言ってよいだろう。(「マンション格差」 榊淳司、講談社新書)

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