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猫が見ていた 湊かなえ他

著名なミステリー作家たちによる「ネコ」をテーマにした作品集。執筆者の顔ぶれから「華麗な謎解き合戦」のようなものを期待したが、内容はどちらかというとミステリー色のほとんどない作品ばかりが並んでおり、読み終えた感想としては「やや期待外れ」という感じは否めない。しかも個々の作家たちも、ここぞとばかり日頃封印しているであろう純文学のようなものにチャレンジしていて、逆に何だか没個性的な作品ばかりが並んでいるようにも感じられた。名前を伏せられて「この作品は誰の作品」と当てられる気がしない。さらに巻末には個々の作品に対する解説ではなく、「古今のネコを題材にした傑作紹介」が掲載されているのも如何かと思う。と、色々難点はあるものの、とにかくこれだけ著名な作家を一編に読める有難さだけで十分と考えれば納得の1冊ではあるだろう。(「猫が見ていた」 湊かなえ他、文春文庫)

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