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こちら横浜市港湾局みなと振興課です 真保裕一

自分の地元の本ということもあり、軽めのお仕事小説の短編集かななどと軽い気持ちで読んだのだが、実際は、戦後日本の混乱期、高度経済成長期の歪み、最近の外国人労働者の急増問題などいくつかの社会問題を背景に取り込んだ非常に濃厚でスケールの大きいミステリー長編だった。それでいて全く堅苦しくはないし、読んでいて横浜という港に関わる様々なお仕事についての理解も深まる一石二鳥のような作品だ。横浜駅の工事は今も続いているし、横浜という町は色々な背景を持ちながら変貌しつつ、不思議な魅力を放ち続けている。そんな横浜の知らなかった一面を見せてくれた一冊だった。(「こちら横浜市港湾局みなと振興課です」 真保裕一、文藝春秋)

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