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希望の糸 東野圭吾

冒頭、地震で子供を失った夫婦の話で始まる本書。続いて金沢で老舗旅館を切り盛りする女将の話になり、そして都内で起きた殺人事件の話と続く。最初はこれら3つの話がどう繋がるのか見当がつかないが、読み進めていくうちに徐々に繋がりを見せ、最後に見事に融合する。全体の鍵となる事件はとてもありそうにない出来事だが、全くあり得ないとは言えないし、もしあったとしたらどういうことになるのか、それを知った当事者がとるべき道は何か、と色々考えさせる。途中、前作で自身の謎がほぼ明らかになった加賀恭一郎が登場、本書では大きな役割を担うことはないと分かっていながら、不思議なことに彼が登場するだけで物語への興味や作品に対する信頼感のようなものがグッと高まる気がした。(「希望の糸」 東野圭吾、新潮社)
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