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エヴリシング・フロウズ 津村記久子

ごく普通の中学生男子の日常を描いた小説だが、やはりこの作家の手にかかると、尋常でない面白さ、奥深さを感じてしまう。主人公の男子とそれを取り巻く数人の友人。彼らが直面するのは、自分の環境を自分で選べないというどうしようもない悲しみだが、読者は、その中で色々もがいて成長していく様にたくましさや明るさを見出すことができるし、主人公のちょっとした勇気や思いやりのある行動に思わず拍手をしてしまう。人生のやり切れなさをしみじみ思う反面、決して下を向いてはいけないと教えられる一冊だ。(「エヴリシング・フロウズ」 津村記久子、文春文庫)
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