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黄色い家 川上未映子

今年の本屋大賞ノミネート作品。主人公を中心とする女性たちの破局の顛末を描いた物語。人に優しく思いやりがあり頑張り屋でもある主人公だが、ひとりでは生きていけない、多少のお金はないと困る、というごく当たり前のことを望むなか、不可抗力のような出来事の連続で深い闇に取り込まれ悪の世界に追い込まれていく。最近読んだ重苦しい小説の中でもとびきり重苦しいエピソードの連続だ。女性たちを取り込んでいく暗い社会は一般人には想像もできないような特殊な世界だが、どこでボタンをかけ間違えたのか、本当に恐ろしい展開に息を呑むしかない。最近の小説には、現代日本の生きにくさ、悪に取り込まれる落とし穴の多さを描く小説が本当に多いが、ここに極まれりという作品だった。(「黄色い家」 川上未映子、中央公論新社)
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