書評、その他
Future Watch 書評、その他
月光値千両 風野真知雄
シリーズ第5作。本作では、これまでの巻で本シリーズの魅力の一つだった各章の軽めの謎解きがちょっと脇に置かれて、主人公の1人であるくノ一達と敵対勢力の壮絶な争いが描かれるとともに、くノ一の驚くべき来歴が明らかになる。それと同時にある人物の謎が一層深まりそんなことがあり得るのかという新たな疑問が湧いてくる。こうした読者の反応も著者の想定通りだと思うと、完全に手玉に取られている気がしてしまう。シリーズ正編は全10巻のようだが、ちょうど5巻目ということで正に物語は佳境に。6巻目はすでに入手済みだが7巻目以降を早く且つ確実に手配して入手しなければと思う。(「月光値千両」 風野真知雄、角川文庫)
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少女Aの殺人 今邑彩ー
ネットショップで読みたい本リストに入れていたが「在庫切れ」だった著者の本が立て続けに「在庫あり」になっていたので購入した一冊。静かなブームになっているのかもしれない。あるラジオ番組に「人を殺してしまうかもしれない」という投稿があり、色々な条件が合致する殺人事件が実際に起こるという発端。叙述トリック、時系列を操るトリックだという気がして色々それを想定しながら読み、その辺りはまんざら間違いではなかったが、それでも真相の意外さは予想を上回るものだった。最近になって「在庫あり」になって購入できたのはあと一冊。まだ読んでいない著者の本は数冊残っているがいずれも絶版なので、しばらくは復刻待ちになるかもしれない。(「少女A の殺人」 今邑彩、中公文庫)
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オンライン落語 古今亭駒治新作落語会
徐々にライブの落語を聴ける環境になってきたので、最近オンライン落語を聴く機会が減ってしまったが、今一番好きな落語家の1人、古今亭駒治の独演会ということで久し振りにオンラインで落語を視聴。演目は、鉄道落語1席(「題名不明」)、野球落語2席(「生徒の作文」他1席)、一般落語1席(「ラジオデイズ」)の合計4席。「生徒の作文」は先日横浜にぎわい座で聴いた話だったが、残りの3席は初めて聴く話でどれも面白く、特に最後の「ラジオデイズ」はとても趣きのある傑作だと思った。古今亭駒治の高座は11月の横浜にぎわい座のチケットも入手済みで、今から楽しみだ。なお、オンライン落語で且つネタおろしのような新作の場合、題名が分からないことが多く、今回は2席目3席目の題名が不明。
①野球落語「生徒の作文」
②鉄道落語「題名不明(ママ鉄)」
③野球落語「題名不明(2061年の神宮球場)」
④一般落語「ラジオデイズ」
①野球落語「生徒の作文」
②鉄道落語「題名不明(ママ鉄)」
③野球落語「題名不明(2061年の神宮球場)」
④一般落語「ラジオデイズ」
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東京オリンピック2017 青山真也
映画「東京オリンピック2017〜都営霞ヶ丘アパート」の作品情報と同アパートに関するデータ、写真、文書記録などを集めた一冊。1964年の東京オリンピックの時に都市整備の一環として旧国立競技場の横に建てられた「都営霞ヶ丘アパート」が、今度は2020年東京オリンピックの際に新国立競技場建設のために2017年に取り壊しになったという。意義のある大きな都市開発と辛い思いをする少数の人々という構図は、オリンピックの賛否とは全く違う次元でどこにでもある軋轢だろう。本書は、同アパートの歴史を年表、町内会の会報、部屋内部の写真、取り壊し決定と立退要請を知らせる都からの文書などによって淡々と伝える内容だ。オリンピック開催や都の対応の賛否ではなく、ただそうした事実があったことを記録に残すための映画、まだ観ていないしこれから観る機会があるかどうかもわからないが、製作者の思いは心に残しておきたいと強く思った。(「東京オリンピック2017」 青山真也他)
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風の囁き 風野真知雄
くノ一シリーズ第4作目。前作まではさほど大きな事件もなく割とのんびりした感じの内容だったのだが、ここに来て脇役だった登場人物2人が予想外の動きを見せたと思った途端、すれ違い物語が大きく展開して、主人公達の先行きに更なる暗雲が立ち込めてきてしまった。幕末に近い設定の物語なので、明治維新で全ての価値観がひっくり返るのが先か、それとも主人公達は別の形で窮地を脱するのか、正に目が離せない状況だ。まだまだ先の話だとは思うが、明治維新の後、幕府の隠密達はどうなってしまったんだろう、どんな風に転職したんだろう、そんなこと考えたことなかったなぁと思う。その辺りも含めて次巻以降を読むのが一層楽しみになってきた。(「風の囁き」 風野真知雄、角川文庫)
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