玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

LIONS FOR LAMBS

2015-11-10 19:58:27 | 映画

大いなる陰謀 (特別編) [DVD]『大いなる陰謀』(2007年アメリカ映画)をCATVで見た。まことに理屈ぽい映画である。最初に大学教授役(ロバート・レッドフォード)と成績不良の学生との会話の中で、学生が云う。

政治学は、有権者がウソを信じるという心理学だと云う。選挙に勝つための学問だとも云う。そして、政治家は選挙に勝てば政治の中身はどうでもよく、平気でバカな悪党面を見せる。そして、極めつけは、大衆の前で「立候補しない!」というのが立候補宣言だ。どこかの国の関西の王様がそうだった。又、学生は続ける。

ワシントンにいる議員は皆そっくりの髪型をし、中身のない言葉を吐き、偉そうに道徳を説教し、机の下ではアレをしゃぶらせる。政治資金を動かし、それがバレると涙ながらに謝罪する。なんと、この国にもピッタリあてはまるじゃないか。

私は、教授と学生の冒頭の会話に惹きつけられて、最後まで見る嵌めになった。普通なら、たぶん見ないだろう。議論が多すぎて、この映画の興行成績は振るわなかったそうだ。難しい映画は、結果としては、二回見ることになる。

別の議論が同時平行的に進んで行く。政治家(トム・クルーズ)が新聞記者(メリル・ストリーブ)呼んで、画期的な戦略を披露し、マスコミは真実を国民に伝えてほしいという。彼は云う。マスコミは政府を批判するばかりだが、この国は、9・11以来、政府とマスコミが共に兵士を見送った。だから、両者はともに戦争を支持したという責任がある、とまくし立てる。この閉塞した状況を打ち破るためにアフガンにおいて新たな戦略を実行する、という。その強引な論法に唖然とするばかりの記者。

以上二つのデベイト劇を挟みながら、同時並行に、その政治家の云った戦略が、アフガンで現に実行されていく戦場シーンが流れる。まあ、ありふれた手法の映画とも言えるだろう。

原題の「LIONS FOR LAMBS」の意味は、「無関心の多数のヒツジのために命を投げ出している少数のライオン(勇者)」らしいのだが、私は、戦争への動因要素は、政治=新聞=思想だと思っている。この映画はその典型の人物を設定し、デベイトさせて、そうしたことと全く無関係に進んで行く戦争現場=戦争の重大さを描きたかったというのが、私のあの難解な映画の包括の印象である。したがって、「羊のためと云いながら勝手にライオンが引き回していく現代の民主政治」というのが、私のこの映画の原題の解釈である。

いずれにせよ、『大いなる陰謀』という邦題は全く見当はずれで、どこからそんな題名が出てくるの?と冗談めかして聞いてみたい。単なるトム・クルーズのイメージに迎合させただけじゃないの?

コメント
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