底知れない悪人だが、おもて面は正義の人、そんなありふれた政治家に飽きたのか。丸見えの悪人で、中はもっと悪人で、暴言と巧言を巧みに使い分け、一片の可愛さも愛嬌もない。摩訶不思議なグロテスクな怪物を思わせる。彼の前では、毛沢東の髪型を真似た肥満児殺人君主もどうも比較できる場に居ないようだ。まあ、どちらも髪型に特徴があり、漫画チックではあるが。
かつて見たB級映画に出て来る悪徳保安官や野蛮な牧場主にそっくりである。そうした町の卑劣漢でも陰で支持していた名もなき意地悪な民衆が居たことをあの映画は教えてくれなかった。