「裁可」とテレビで聞こえた瞬間、何か奇妙な違和感があった。どうもこれは、日常ではない、独特な響きとニュアンスを持つ言葉だった。いや、聞いたのではない、書いてあった。
その口語体の文章を引用するとこうである。『開戦の際東條内閣の決定を私が裁可したのは立憲政治における立憲君主としてやむを得ぬ事である』(『昭和天皇独白録』文春文庫)
それが、テレビでは『豊洲移転の決定を私が裁可したのは専門家や信頼する部下が問題ないと言ったので、東京都知事として止むを得ぬ事である』となる。随分ご立派な御言葉で驚きました。安全と安心を峻別する前に、自分自身の立場を混同しているようだが。
尤も、老将も一矢は報いたようで、投げかけた「不作為の責任論」には小池氏からなんら返答はなかった。でも、これからどうなるのだろうか?小池氏は鞭を打ち続け、老将は・・・。