寝る前に枕元に本を置いて、睡眠剤で何冊か目を通す。その一冊に『折々のうた』がある。
そこに、「羨(うらや)ましやわが心 夜昼君に離れぬ」とあった。
注釈に、出典は『閑吟集』とあった。室町時代中期の歌謡集だと云う。そんな昔から、この「君」という言葉があった、という事に驚いた。しかも、愛する者への呼称であろう、…。
近頃、韓国ドラマを見なくなった。大量生産・粗製乱造なのが分かったからだ。代わりに邦画を見るようになった。
『君の膵臓を食べたい』を見た。年甲斐もなく涙が出た。その最後の方の言葉に、「君としか呼んでくれなかった」という、ヒロインさくらのセリフがある。
作者はこの「君」という言葉を十分に知っていたのだろうか。あえて、現代のちょっと隙間のある関係に使う呼称の「君」を使ったのだろうか、どちらでもよいが、ふと小さな疑問として残った。
sakuraが待ち遠しい。