キキ便り

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自閉症の診断

2007-10-05 04:05:32 | 自閉症アメリカ教育事情
 私の院のアドバイザーに、自閉症の職業訓練のことを話してたら、彼女のオットの弟さんは、53才になって初めて、高機能自閉症と診断されたとか。

 こういう人は、かなり多いそう。自閉症という障害があまり知れ渡ってなかった時代には、どこか違う風変わりな人、人づきあいの下手な人という受け皿があったのかもしれない。

 しかしこの人は、職業は持つものの、独立して暮らすことが難しいらしく、年老いた母親との二人暮し。家族は、もっと早く分かってたら一人立ちできたのかも、と後悔する。

 昨日紹介したJerry Newportはレインマンの映画を見て、自分がアスベルガであることを知り、初めて診断してもらったそう。それから、アスベルガの人たちのサポートグループをカリフォルニアのロングビーチでスタートし、そこで将来の伴侶Maryに出会う。そのラブストーリーは、2005年に"Mozart and the Whale" (モーツアルトとくじら)というタイトルで映画化。http://www.mozart-kujira.jp/ 私は彼の講演の方が面白いように思ったけど、こういう風にして、世の中の人に分かってもらえるのはいい事。

 うちの息子の場合も、自閉症の診断にはなかなか時間がかかった。まずバイリンガルの環境で育った子どもの場合には、言葉の遅れと言語環境の相関関係を排除してからじゃないと、正式に診断できないとか。

 それから、アメリカの現在の医療制度の中では、入っている保険によって、どんな専門家に見てもらえるかどうか、左右されてしまう。息子が3歳の時、その発達の遅れが気になった私たちは、まず小児科のお医者さんに専門家を紹介してもらおうと思ったが、その専門家(心理学者)とアポを取るには1年待たなければと言われてしまう。3歳児の発達の中で、1年間とはあまりにも長すぎるのでは??とショック。

 いろいろなことがあった中で、息子は5歳の時にPDD(広汎性発達障害)と医療機関で診断され、それ以来、さまざまな医療、福祉、教育機関のお世話になり、受けた恩恵は計りきれない。10年前生まれてたら、20年前に生まれてたら・・・って考えると、息子にとって、今みたいに普通学級で授業を受けるなんて夢だったに違いない。

 診断には、家族の側の心理的な痛み(自分のせいでこうなってしまったのか?これから一体どうなるの?)が伴う。私たちも随分お互いを責め合う夫婦喧嘩をしたり、将来を絶望して悲しんだりもしてきた。けれども、前に進めたのは、サポートしてくださったいろいろな人たちとの出会いがあったおかげ。
コメント (5)
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