今日もまたVISAの貸切でした。2階席だったので4階の売店で、おにぎりお弁当を
買いました。初めて食べたんですが結構おいしいですね。
普段は売店なんて気にも留めないのですが、姫と一緒だったのでお菓子を
あれこれ見てしまいます。
そして・・・抽選ではなんとっ 3月のVISA貸切(つまり「ロミジュリ」)の1階最前列
ペアチケットが当たってしまったーーーひょえーーこれで今年の運は使い果たしたか?
「誰が為に鐘は鳴る」が平坦で
長く感じるのはなぜか
今回の公演、名作にも関わらずお客様の反応はイマイチ。
「1幕が長いのなんのって。しかも平坦で暗い。ロベルトとマリアは
いちゃいちゃの繰り返しだし」
という意見が多いですよねーーこれって初演の「脚本」に問題ありと思っている方が
多いようですが、今日観劇し、そうではなく、全て木村信司氏の演出に問題が
あることにきづきましたっ
再演するって難しい・・・のはわかるけど過去の名作を台無しにしないで欲しい。
「虞美人」だってひどかったしね。
問題点
テンポが悪くだらだらして見える
初演のビデオを見ていると、あまり長く感じません。ビデオで色々な場面が切られて
いるせいもありますが、一番は舞台転換が見事であるという事で
また平和な時代と戦争中の現在をきちんとわけているという部分も大きいのでは?
今回の木村演出では、山のセットである大きな柱が1幕2幕通して両脇にでんと
そびえているので、せっかくのパーティの場面などが引き立ちません。
また、場面転換の前に余計な歌が入っている為にだらだらして見えます。
例えば
1幕目10場 エル・ソルド
パコの父親が死に、少年が戦に行きたいと言い出し、エル・ソルドは歌で
優しくなだめるのですが、ちょっと余計。ロベルト達の登場が遅くなるのと、
ローサが語る「カシュキンとの愛」が削除されてしまい、その後のローサが意味不明
の女性になってしまう。
11場 ヒースの草原
ピラールとロベルトとマリアの3人が上手から登場し、ピラールがひとしきり軽口を
たたき、やがて二人きりにされてマリアが過去を語るのですが、ピラールの軽口は
よけいで、さっさと12場に行くべき
12場 マリアの町
ここでマリアは祭りの衣装を着ていないのが異様で、初演ではちゃんと衣装が
変わっており、曲もテンポがよかったです。また、娘達が髪を切られるシーンまで
ちゃんとあったのに、ここではあっさり消えてます。
13場 70時間で70年
ここではマリアが「♪ あなたの大事なあの寝袋を・・・♪」と歌うのですが、そこに
行く前にもう一曲入るのが余りにも余計。いつまでいちゃいちゃやってるんだって
ことになります。初演ではそんなにベタベタしていた印象がないので「何で?」
と思ったら、後から歌が追加されて1場面が長くなっているからですね。
14場 第二夜
ここは、みんなが「平和かあ」と昔を懐かしむシーンで、ピラールが恋の話を
始めます。初演では「海が見えるすだれの下で恋をしたのさ」の台詞と同時に
15場の「スペインの花」に行きますが、今回は突如エル・ソルドが登場して
「じゃあ、行ってくる」の台詞が増えました。これまた余計で気がそがれます。
15場 スペインの花
初演ではローサの高宮沙千と鳳蘭の歌声が素晴らしく、また踊りの振り付けも大人
っぽくて、「ロベルトとマリア」が純愛なら「ロベルトとローサ」は恋の駆け引きのような
雰囲気をかもしだしていました。
曲と声が鳳・高宮の声に合っていたんでしょうね。今回は純矢ちとせが頑張って
いましたけど、いかんせん、彼女もマリアタイプだし・・・祐飛君の歌は・・・・振り付けも
迫力がなかったな・・・・と。
17場 エル・ソルド隊全滅
ここはルチアが入ってくるタイミングが遅すぎるような気がします。ゆえにじりじり
だらだらしちゃったのかな・・・・と。
2幕目
18場 幻想の結婚式&アウグスティン
何でこんな場面を追加してしまったのか・・・馬鹿にも程があるというか。
ただでさえ、出演者全員に「戦争」「死」という緊張感がないのに、幻想の中とは言え
全く関係ない場を入れても意味がないのでは?
ましてブーケを投げるシーンまではいらないって・・・・
また、唐突に出てくるアウグスティンの歌。これも余計でした。
19場以降のアンドレスとルチア
まあ、三番手の北翔海莉がやっている役ですから、出る場面を増やさなきゃいけないし
歌も歌わせて色々・・・っていうのはわかるんですが、何とも長いんですよね。
最初と最後だけでよかったような気がします。
22場 今、今、今
ここでアウグスティンはロベルトに「実はマリアが好きだった」と告白するのですが、
初演ではここは台詞。これをわざわざ歌にした意味がわからないっていうか・・・・
軽くなってしまって、アウグスティンとロベルトの友情が描けていないような気がします。
25場 伝令到着
やっとアンドレアスとルチアがゴルツ将軍と連絡を取るも、すでに時遅しで作戦は
決行されてしまいます。初演ではゴルツ将軍の台詞と同時に橋の爆破になるのですが
ここでまたへんてこな「♪ 終わった 終わった 負けた♪」と余計な歌が入り、
そこまで「終わっている」ものをなんでわざわざ見せる?興ざめもいい所じゃないかと。
歌がなければ素直に「遅かった・・・ロベルト・・・」と観客も思えるのに。
全幕通して一番の演出ミスがここです。
27場 逃走、そして・・・
ロベルトが一人残るシーンですが、初演ではアウグスティンと別れたあと、意識が
なくなりそうになるロベルトの耳に馬の足音が響き「来たなーー」となるのですが
今回はまあ・・ロベルトが死ぬのが遅い遅い。
歌って一段高い所に上がって「来たなーー」ですから間延びもいい所。
要するに新曲が余計だったわけです。それを省いてちゃんと初演通りの演出を
行うか、エル・ソルド隊の全滅をダンスで表現するか、パブロが仲間を殺す場面を
入れるとか・・・(「黒い瞳」の謝先生のように)そうすればこんなにひどい結果に
ならなかったのでは?
パブロ役とピラール役が役作りを間違えている
専科の二人にいちゃもんつけるのは気がひけるんですが。
星原美沙緒のパブロ
初演のパブロは非常に「隊長」という威厳があり、ピラールとの仲も色々乗り越え
お互いに悪口を言い合いながらも心が繋がっているという感じでしたが、星原さんの
パブロは軽くて、コロコロ感情が変わっていくへんな人になってました。
7場で橋の爆破に反対してピラールに「今日から私が隊長だ」といわれたあと、
「ところで隊長さんよ、お前はまだ俺の女房で・・・」の台詞がありますが、ここがどうも
いけません・・・冗談なのかいじけているのかわからなくて、笑っていいのか苦しむ
んんですよね。
また、26場で「ローサが撃たれた」と言ったあと、他の連中は?と聞かれて
殺したことを突き止められ「俺達の方が減るとは思ってなかったんでね」という
台詞もあまりにも軽すぎて・・・人の命をなんだと思ってるんだと怒りが。
自分達が生き残るためには他の部隊を犠牲にしてでも・・・という切迫感がない
のでした。
京三紗のピラール
小さい体とちょこちょこした動きでひょうきんだけど愛されるピラール像を
作ろうとしたようですが失敗したという感じです。
パブロがわけわかめの性格なのに異常に明るいっていうか、プラス思考すぎて
よくわからない・・・・
特に、16場、パブロを殺そうという雰囲気になった時、ピラールも賛成しますが
仮にも夫で長年連れ添った人を殺すというのに「賛成」とはっきり言い切ってしまう
のがおかしいし、帰って来たパブロに「寂しかったんだね」という言い方も思いやり
なのかなんなのか・・・「京は色々芝居があってつかれちまった」というのも、緊迫
した雰囲気を和らげる・・・というまでには至ってませんでした。
また、24場、パブロの裏切りに怒らないでいてくれたロベルトの機嫌を必死に
取り繕うとしたシーン。
「俺は手相なんか信じないと言ったろう!」と怒鳴られて「・・ならいいけど」と
言うのですが、この間が悪すぎて。いいシーンなのに勿体無かったなあと。
芝居って本当に「間合い」と「テンポ」の世界なんだなあと思いました。