よし坊のあっちこっち

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映画三昧 -ミシシッピ・バーニング

2009年06月07日 | 映画
先月5月、アメリカの片田舎で小さな歴史的出来事があった。アメリカでも最貧の州の一つに数えられるミシシッピ州、人口7~8千人のフィラデルフィア市に、初めて黒人の市長が誕生した。

この地に黒人市長が誕生したのは特別の意味を持つ。60年台初頭、ここは、人種差別運動の先頭にいた。そして、1964年、市民運動家三人(黒人一人白人二人)が殺害されるという有名な事件が勃発したのだ。

事件は、KKK(クー・クラックス・クラン)のメンバーである、警察官が、町の教会の火事を調査に来た市民運動家3人を強制逮捕し、釈放した後、同じKKKのメンバーに手渡し、リンチ殺害したもの。教会の火事は明らかに人種差別撤廃運動を支持する教会に対する白人反対勢力の仕業である。事件は全米の注目する所となり、ジョンソン大統領が連邦捜査を支持、この事件が直接的な引き金となり、有名な「公民権法」の制定となった。その意味では誠に大きな事件なのである。

1988年、この事件を題材として出来たのが「Mississippi Burning」である。
映画では、ジーン・ハックマンとウィレム・デフォーが連邦捜査官として、活躍するのだが、この頃の背景を知る素材としては必見である。
たまにミシシッピをドライブする時、よし坊はいつも、この映画を思い出し、周囲の風景を重ね合わせる。

このような、重い歴史を背負ったフィラデルフィア市に、ジェイムス・ヤングという黒人が、僅か46票差で白人現職(3期)を破った。歴史の流れは、明らかに変わったのだと思う。今年、国家としてオバマ大統領を誕生させ、ミシシッピの片隅では、その流れを具現するかのように、新市長が誕生した。長い、長い道程である。