よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

NHK会長騒動に垣間見る「日本的」なもの

2011年01月19日 | ビジネス横丁こぼれ話
NHKの次期会長候補に纏わるドタバタ劇は、極めて“日本的なもの“が問題をこじらせてしまったと言える。日本人は、どうも「ビジネスライク」という概念が嫌いらしい。

NHKの会長とは、多少名誉職的な雰囲気はあるが、巨大NHKを束ねていくマネジメントリーダーとしての重責を負うからには単なるお飾りでは駄目だろう。又、過去の不祥事連鎖から、内部昇格では自浄能力が無いと言うことで、最近は外部からの招請、所謂“外部の血”を入れているが、これも妥当な線だ。

外部からの招請とは、要するにヘッドハンティングである。当然、その職に見合う条件を提示してのお願いが常識であろう。条件とは、早い話が、給与とベネフィット類である。もし、そのような提示が無ければ当然質問することになる。更に、職務遂行に当って気になる点の質問も当然出てくるであろう。

招請を内諾したA候補者が、(1)交際費の有無 (2)家が遠いことによる会社近くでの居住便宜の有無 (3)外部から右腕を連れて行けるか、を聞いたあたりから、NHK内部でとんでもない人物だとの風評が立ち、これが本人の耳に入り、烈火のごとく怒って会長就任を蹴ったという顛末である。全く稚拙なヘッドハンティングだと言わざるを得ない。

A候補者の質問を検証してみよう。
まず、(1)は、NHKという特殊集団だから特別なシステムを持っているのか知りたいところである。何も、交際費をガンガン使いたいから出た質問では無いだろう。逆に、特殊集団が故に、もし、要職である会長さえ交際費が無いとしたら、それこそドン引きである。(2)は、アメリカの就職で言えば、リロケーション的なもので、候補者としては当然聞きたくなる。(3)は不祥事続きの組織を変えるには頼りになる片腕が欲しいと考えるのは当然で、これも聞いてみたいところだ。これを聞いただけで、あらぬ風評が立ち、結局本人に袖にされたのだから、何をやっているのか、と言いたい。

報酬など小額でよいから是非ともNHKのお役に立ちたい、という人はそれでよいが、そう言う前例で物事を計るのがNHKの反応だとしたら、今時、お粗末な話である。今回の騒動で見え隠れするのは、実は日本の雇用制度の中に今でも根強く残っているものと同じなのである。例の“滅私奉公”“サービス残業当たり前”の精神である。
日本も変わらないといけないのだが、なかなか変わりそうも無いのが実感だ。