よし坊のあっちこっち

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円高の先にあるもの

2011年09月14日 | ビジネス横丁こぼれ話
ついこの間までは、90円あたりで定着していた円が、あれよあれよと言う間に80円を切り、70円台が定着しそうな勢いである。相場だけは分からぬ、と昔から言われているが、過去の円高の流れを見れば、実勢で定着している事から、70円台での企業収益を考えねばならないだろう。

と言うことで、企業は軒並み悲鳴を上げ始めた。 海外進出企業では、一層の国内生産分の海外移転を加速せざるを得ないだろうし、今まで何とか国内生産で踏ん張ってきた輸出企業も、その海外移転を考慮せざるを得ないところに追い込まれてしまっている。政権交代による国内政治の大混乱と、大震災被災後の政治の無策、加えて、主要各国軒並みの財政基盤の低下は、かつての円高阻止の為の大々的な強調介入を「今や幻」にしてしまった。極論すれば、最早「円」がどうなろうと問題ではなく、問題にするとしたら、台頭した中国の「人民元」をどうするかであり、日本及び円は格下の位置づけとなった。

さて、今後企業が海外移転を加速するとして、今のグローバル経済下で、果たして日本企業は、成功するのだろうか、と考えると否定的な答えにならざるを得ないのだ。

アジア地域では、欧米並みの厳しいマネジメント力も要らないので、当面今までの財産である「経済大国」をテコにして、なんとか食いつなぎは出来るかもしれないが、正面に中国が立ちはだかっているから、安心は出来ない。むしろ、中国の下請けに段々組み込まれていく可能性が高いと見るのが自然だ。

欧米地域では、今のような、4-5年の駐在によるマネジメントのローテーションを採る限り、現地に不可欠な、本当のマネジメント力は育たない。海外進出とか海外移転を考える時、最も大きな問題にして、最も過小評価されてきたのが、このマネジメント力である。これを抜本的に変えていかないと、ひしめく各国のグローバル企業との競争に勝つのは難しい。

マネジメント力の育成補強には何が必要か。ずばり、日本人の海外での土着スタイルの定着しか無いだろう。その点、韓国人や中国人は土着性に優れ、一日の長があるのは間違いない。品質のいささかの優位性だけでは最早勝てない時代だ。「品質」で日本がちやほやされた時代はとっくに終わっている事に日本及び日本人は気が付かなければならないのだが...。