戦後の東西冷戦下で、米国は強国ソ連と対峙しながら、世界経済をリードしてきた。当時、我々が”グローバリゼーション“の言葉さえ認識していなかった時代に、米国は既にそのスキームに着手し、軽工業品を皮切りに低賃金国で作らせ購入するオフショア・ビジネスを展開・拡大していった。その結果、まず日本が浮揚し、その後、東南アジア諸国がこれに続く。実は、このオフショア・ビジネスの拡大は、安価品を手に入れる代償に国内産業を空洞化させる”両刃の剣“でもある。この空洞化は、世界経済における米国の相対的国力低下をもたらした。危機感を募らせた米国は、国力低下に歯止めを掛ける為にサービス産業主体の国へ活路を見出し、変貌していかざるを得なかった。国力が低下したとは言え、今でも米国がNo.1であることに変わりはないのだが、それで満足する国ではない。突出して強くなければならないと考えている国である。その米国に再びチャンスが訪れようとしている。
世界経済の拡大、とりわけ中国の膨張と、今後予見されるインドの加速で何が懸念されるか。それは、エネルギー問題である。安定的かつ低コストエネルギーの確保は経済活動に直結し、国力を左右する。今日までの米国の繁栄は正にこの点にある。ロシアが欧州に一定の影響力を行使しているのも石油のお陰だ。日本が真珠湾攻撃で開戦し、遠くインドシナまで南下して行ったのは、石油を絶たれた事による。エネルギーの確保は国の死活問題なのだ。
この10年の石油エネルギーコストの上昇と高値止まりによる更なるオフショア・ビジネスの加速は、米国の危機感を一層募らせた。それが頁岩(シェール)資源開発に注力させ、花開こうとしている。今後数年で米国の石油産油量はロシアを抜き、2025年頃にはアラブを抜いて世界最大になるという。
時あたかも、中国の人件費高騰により、進出産業の米国回帰が始まった。2012年の雇用動向では、石油ガス掘削事業が29%増加したのは頷けるとして、鉄鋼業関連の雇用が18%も増加している。又、シェールオイルの将来性を見込んで、海外から米国への企業進出が活発化し、新たな雇用創造が始まった。
米国は、経済主体のサービス産業を進化させながら、嘗て国家経済を担っていた製造業を中心とした第二次産業に再び陽の目を当てようとしている。
世界経済の拡大、とりわけ中国の膨張と、今後予見されるインドの加速で何が懸念されるか。それは、エネルギー問題である。安定的かつ低コストエネルギーの確保は経済活動に直結し、国力を左右する。今日までの米国の繁栄は正にこの点にある。ロシアが欧州に一定の影響力を行使しているのも石油のお陰だ。日本が真珠湾攻撃で開戦し、遠くインドシナまで南下して行ったのは、石油を絶たれた事による。エネルギーの確保は国の死活問題なのだ。
この10年の石油エネルギーコストの上昇と高値止まりによる更なるオフショア・ビジネスの加速は、米国の危機感を一層募らせた。それが頁岩(シェール)資源開発に注力させ、花開こうとしている。今後数年で米国の石油産油量はロシアを抜き、2025年頃にはアラブを抜いて世界最大になるという。
時あたかも、中国の人件費高騰により、進出産業の米国回帰が始まった。2012年の雇用動向では、石油ガス掘削事業が29%増加したのは頷けるとして、鉄鋼業関連の雇用が18%も増加している。又、シェールオイルの将来性を見込んで、海外から米国への企業進出が活発化し、新たな雇用創造が始まった。
米国は、経済主体のサービス産業を進化させながら、嘗て国家経済を担っていた製造業を中心とした第二次産業に再び陽の目を当てようとしている。