よし坊のあっちこっち

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アメフト馬鹿のアメリカ、町ぐるみでCover-Up

2013年03月20日 | アメリカ通信
スポーツの世界も華やかな影で陰湿な”何か”がいつも漂っている。事件になるまでは何事もなかったように、皆熱狂しているが、ひと度明るみに出ると右往左往。その結果はいろいろだが、概ねすっきりした結果にはならない。最近の日本の全日本女子柔道代表チームに対する元監督・コーチの力と言葉のハラスメントはその一例で、監督やコーチの処分は当然としても、柔道連盟幹部は誰も責任を取らない厚顔無恥さにはあきれる。スポーツマンシップどうのこうのと言えた義理ではない。

アメリカの東部ペンシルベニアの小さな町スチューベンビルで昨年とんでもない事件が起こり、先日の日曜日に16歳と17歳の二人の少年に判決がでた。最低でも1-2年、最長で21歳になるまでの鉄格子である。

この町にある高校のアメフトチームは全米屈指のチームで、いわば花形である。その故に、なんでも許される”ゆるゆる”の土壌が造成されていたともいえる。アメリカ人はパーティがこの上なく好きだ。若い連中はワイルド・パーティと称してハメを外すことが多い。そんな中事件は起きた。泥酔した若い女性を、判決を受けた二人を含む複数人で暴行し、写真ビデオをこともあろうに、ユーチューブに載せたのだ。それは世界を駆け巡った。誰かがまずいと思ったはずで、画像はその後消去されたが、コピーしたものもいる。そのひとりに、この町出身のブロガーがいた。そして、ここから事件が明るみに出るのである。

この女性ブロガーが独自に情報収集した内容にNYタイムズが反応し、更に悪名高き(いや善名高きかもしれぬ)ハッカー集団の「Anonymousアノニマス」が追求の手を挙げるに及び、司直の介入が漸く行われることになった。それまで町全体が有名高校アメフトチームのお蔭で得た名声を守らんがために鳴りを潜め、事件が発覚しない事を願った。まさに町全体によるCover-Upである。

この種の事件の取り扱いで、日本と大きく違う所は、見て見ぬふりをした者も追求の対象(即ち刑事罰)になるということである。事件が起こった前後、当然周囲で情報を得た者は多いはずである。特にこの手の情報は今時は携帯機器で回る。学校の先生や関係者、チームの管理責任者、チームメートの親等。調査の対象者を絞って、彼らの携帯機器の記録を調べれば誰が見て見ぬふりをしていたかがわかってしまう。だから、今、彼らは毎日が針のむしろであろう。

判決を受けた二人の将来、とりわけアメフト選手としての将来は絶望となった。加えて、彼らが出所した時点で、アメリカの法律により「Sex Offender性犯罪者」として登録され、常に居場所が公にされる。

有名アメフトチームで全国に知られた誇り高き町は、一転して、隠蔽の町、性犯罪者予備軍が多い町に変わってしまった。