よし坊のあっちこっち

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アメリカを支える外国人(永住者、合法滞在者達)

2013年07月14日 | アメリカ通信
アメリカは移民の国だから、移民政策は極めて重要である。日頃、この関連でニュースとなって我々の目にとまり、耳に入るのは、“不法滞在者を追い出せ”とか“移民をもっと制限しろ”等、一連の不法滞在者排除キャンペーンである。しかし、法を楯にした移民監督当局の懸命の排除努力にもかかわらず、依然として不法滞在者が減らないのが現実だ。

今アメリカは、新しい移民政策の中で、ふたつ重要案件を検討している。H1-Bビザ増枠と、不法滞在者の一部合法化である。

H1-Bは毎年一定枠があり、マイクロソフト等のハイテク産業を中心に優秀な外国人を支援して雇用しているが、現状枠では足りないようだ。AFL-CIOはアメリカ市民だけで数は足りているはずだと議論を吹っかけているが、企業側からすると、単なる員数合わせが問題ではなく、教育及びスキルが一定レベル以上の人材を前提にすると、大学を出たアメリカ市民だけでは全く足りないという。そこで頼るのはH1-Bとなるが、枠不足に陥っている。しかも、必ずしも永住権に有利に繋がる保証があるわけではないので不安定さは否めない。お隣カナダはその点を突いて、謂わば永住権前提の就労ビザ発行で人材を積極的に呼び込もうとしている。これは大変、とアメリカ議会はビザ枠を85千から110千(状況次第で最大180千)まで引き上げようかと考えている。因みに、マイクロソフトは6300のジョブが有りながら適格者がおらず、ポジションが埋まらないと言う。

もうひとつの案件は、不法滞在者の合法化である。一定の条件が整えば合法滞在とする措置で、法制化されれば約1100万人の合法滞在者が生まれることになる。アメリカ市民の職を奪うのか、という反対の声も相変わらず強いが、実は、今まであまり知られていなかった事実がこの法案を後押ししている。

ハーバード・メディカル・スクールが2002年から2009年のMedicare Fund(アメリカの医療制度資金)の実態を調査したところ、この間に移住者達が給与からMedicareに払い込んだ額は彼らがMedicareで使用した額より1150億ドルも多かった言う。つまり、アメリカ市民は彼ら移住者達の貢献分の恩恵に浴している事になる。しかも、ベビーブーマー大量リタイア時代を迎え、今後は彼らがMedicare資金の大口使用者になる一方、アメリカ市民のMedicare資金への払込比率は益々減少していく。裏で資金を支えていく重要なグループが、働き盛りの外国人移住者になると言う構図だ。